現在の広告運用は機械学習による自動入札が主流です。広告運用をこれから始めようと考えている方は自動入札について疑問に持たれるかと思います。「自動入札ってなに?」「なぜ運用型広告は自動入札を使用するの?」「どんなメリットやデメリットがあるの?」今回は自動入札についてお話ししたいと思います。
スマート自動入札とは
自動入札とは広告をオークションにかける際にクリック単価を自動的に調整す機能を指します。GoogleのGoogleスマート自動入札は機械学習を使用してコンバージョン数・コンバージョン値を基に自動入札を行う機能を指します。以前は拡張クリック単価(eCPC)という自動入札が主流となっていました。しかし拡張クリック単価は個別にクリック単価の調整を行うことは出来ますが「目標としたい具体的なコンバージョン単価」を設定することは出来ませんでした。
拡張クリック単価は、個別クリック単価設定で使用できるスマート自動入札の一種であり、ブラウザ、地域、時間帯などのオークションごとのさまざまなシグナルを使用して、検索ごとの固有のコンテキストに合わせて入札単価を設定します。しかし、目標コンバージョン単価や目標広告費用対効果などのその他のスマート自動入札戦略と比較すると、コンテキストの範囲は限られます。
そこで生まれたのがGoogleスマート自動入札です。コンバージョン単価、広告費用対効果などに基づいて自動入札をおこいます。Googleスマート自動入札にはいくつかの特徴があります。
膨大なデータ×リアルタイム入札で精度の高い運用を行うことが出来る
スマート自動入札ではコンバージョンを獲得するために様々な情報を活用しています。なおこれらのデータをシグナルと呼んでいます。※シグナルとは個々のユーザーやオークション時のコンテキスト(文脈)を特定できる属性データを指します。これらのデータは入札単価を調整する際に使用されます。現在Googleが公式に発表している自動入札に使用しているシグナルは下記のとおりです。
・デバイス
・所在地
・地域に関する意図
・曜日と時間帯
・リマーケティング リスト
・広告の特性
・表示言語
・ブラウザ
・OS
・実際の検索語句(検索キャンペーンとショッピング キャンペーン)
・検索ネットワーク パートナー(検索キャンペーンのみ)
・ウェブサイトのプレースメント(ディスプレイ キャンペーンのみ)
・商品属性(ショッピング キャンペーンのみ)
・ホテルと旅行プランの属性(ホテル キャンペーンのみ)
・モバイルアプリの評価(今後対応予定)
・価格競争力(ショッピング キャンペーンとホテル キャンペーンのみ)
・季節性(ショッピング キャンペーンのみ)
これらのシグナルをリアルタイムでチェックし見込みの高いユーザーに向けて広告配信を行います。大量に蓄積されたデータを基に入札を行うため、手動で行う入札と比べて圧倒的に高い精度で入札を行うことが可能となります。
広告運用の工数を大幅に軽減することが出来る
入札の調整を手動メインで行った時期は適時調整する必要がありましたが、自動入札ではキーワードごとの入札単価調整など、細やかな調整はすべて自動的に行われます。また機械学習を促進するためにキャンペーン構成は以前と比べてシンプルな作りになっています。広告運用者は広告クリエイティブの改善など、より本質的なところに時間を費やせるようになります。
スマート自動入札のデメリットとは
良いことが多いスマート自動入札ですが当然デメリットもあります。
データ量が少ないとコンバージョンを獲得する精度が落ちてしまう
メリットの部分でも書いていますが、機械学習の精度はデータ量に大きく依存します。そのためデータ量が少ない場合は、機械学習がうまく機能しない(学習中であるため)せず、不安定となります。機械学習にはデータの蓄積・学習期間が必要であることを認識しておきましょう。
スマート自動入札は、大小さまざまな規模のビジネスに適しています。スマート自動入札を導入すると、すべてのキャンペーンのデータに基づいて最適化が行われるため、独自のデータがない新しいキャンペーンの場合でも掲載結果が向上します。掲載結果を正確に評価するには、1 か月以上の長い期間に 30 回以上のコンバージョン(目標広告費用対効果の場合は 50 回以上)を獲得していることが推奨されます。関連性の高いキーワードをトラフィックの少ないキャンペーンに追加すると、ターゲティングを拡大してコンバージョンを増やすことができます。
もし安定していない中でさらに広告に大きな変更を加えると、それまでの学習内容も一度リセットされてさらに数字が悪化することもあります。度重なる変更は成果を出しにくい負のスパイラルに陥る可能性があることを忘れないようにしましょう。
入札戦略に変更を加えた場合、Google 広告による入札単価の最適化にともない、掲載結果にわずかな変動が生じることがあります。その場合は、ステータスが「学習中」になります。
スマート自動入札の内容を理解していないと数字を悪化させる可能性がある
広告運用に行っているとわかってきますが、選ぶ入札方法によってその後の挙動が変わってきます。たとえば「コンバージョン数の最大化」という入札方法では1日の広告予算を使用したうえでコンバージョンの取れるポイントを探るため、なるべく多く配信するという特徴があります。そのため一時的にコンバージョン単価が高騰するケースがあります。
また「目標コンバージョン単価」では設定している入札単価に調整するように配信されるため、入札単価に合わないと判断した場合は広告自体が出稿されにくくなるという特徴があります。
これらは入札戦略の違いによるものであり、違いを理解せずに使用すると成果を上げることが難しくなります。
目の前の数字だけで判断するのは危険であることを認識しよう
上記の通り機械学習の精度は集められたデータ量に比例します。データ量が多い場合は最適化されやすいですが、データ量が少ない場合は学習期間中であることも多く数字が悪化するケースも多々あります。
出稿し始めたばかりの期間は蓄積されたデータがないため一般的に「数字は荒れやすい」傾向にあります。広告運用される際は目の前の数字だけに振り回されず、信頼できるデータ量なのかという視点を必ず持つようにしましょう。中長期視点を持って取り組んでいきましょうね。
今回は以上となります。
なお援軍は「自動入札」「機械学習」に関連する記事が複数ありますので、これから広告運用される方はぜひご活用ください。
運用型広告:コンバージョンが少ない場合の広告最適化はどうすればいいか?
Google広告:自動入札機能を使っていて徐々に表示回数が減少してしまう場合の対処法
自動入札機能を導入後に成果が悪い場合、「我慢する」のが最良の選択なのか?
自動入札活用へのCVカウント
【入札戦略のステータス/Google広告】何をすると再学習にはいる?
【Google広告】初心者向け/入札単価が変更できない!理由と対処法について
長期間広告を止めると機械学習はどうなるのか?
自動最適化で効果が出ないなら、手動入札に切り替えてみよう
Google広告:発生しがちな自動入札機能のリスク3つ
Google広告:目標コンバージョン単価入札導入時の目標CPA設定はいくらにすべきか?
Google広告:自動入札機能使用時の日予算変更による挙動
Google広告:自動入札機能を導入して広告の表示回数が激減しても焦るな
Google広告:入札戦略「目標コンバージョン単価」導入時の5つのポイント
Googleの入札戦略「コンバージョン数の最大化」はどんな時に使う?
【Facebook広告】機械学習を考慮した最適化の考え方
Hiroshi Shimada
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