4月にはいり新入社員も増えるこの季節、これまで広告運用に関わってきた方も異動や役割変更により広告運用業務から離れるケースが増えてくるかと思います。人事異動で必ず起こるのは引継ぎ業務です。広告運用は一人で進めることが多いためか俗人的な運用となりやすく新担当者への引継ぎが難しいという声も聞こえてきます。今回は広告アカウントを引き継ぐ前に確認しておきたいことについてお話ししたいと思います。

新担当者を迎える前に確認しておきたいこと

事前に確認しておきたいことをピックアップします。

広告運用上のルールは言語化できているか

広告運用は運用者のルールに依存します。

  • 月額の予算の設定・変更ルール
  • キャンペーン・広告グループ作成時のルール
  • 登録キーワード・除外キーワードの追加のルール
  • 競合他社のキーワードの取り扱い
  • 会社内で許容している広告表現の範囲(主に景表法・薬機法等に付随する内容)
  • 日々のレポーティング作成のルール など

日々どのような考えのもとに運用しているのかは前広告運用者でなければ分からないこともあります。新担当者が運用時に困ることがないようにするために必ず事前に広告運用上のルールを言語化しておきましょう。

広告運用で使用するプロダクトの構成の把握

広告運用では広告アカウント単体だけを使用するケースは少なく様々なツールを横断して使用します。

  • Google Analytics(グーグルアナリティクス):ユーザーの動向分析、他媒体含めての成果の分析などで使用
  • Google Tag Manager(グーグルタグマネージャー):タグ関連をまとめて管理
  • LookerStudio(ルッカ―スタジオ):欲しい情報のダッシュボードを作成する
  • Google Search Console(グーグルサーチコンソール):自社サイトのSEOの状況を把握 など

適切に引き継ぐためにも事前に広告アカウントの設計状況を理解しておきましょう。

広告運用上の課題を言語化出来ているか

広告運用は商材・サービスにもよりますが一般的には中長期的に運用していきます。広告運用中は必ず課題(コンバージョン率が低い状況など)は発生するもので、新担当者はその課題に向き合うことになります。スムーズに引き継ぐためにも必ず課題の言語化は行うようにしておきましょう。

広告運用は様々な要因で数字が変動します。コンバージョン単価が高騰している場合、クリック単価が高騰しているため起きていることなのか、コンバージョン率が低下しておきていることなのかでは今後取り組む施策は変わってきます。新担当者が迷うことがないようにするため今の広告運用上の課題は言語化しておきましょう。

アカウントのアクセス権は適切に設定されている状態か

広告アカウントは基本的に該当するメールアドレスと紐づけて確認・変更を行っていきます。紐づけるメールアドレスを共通で使用している場合、前担当者も引き続き確認できる状態となります。前担当者が異動だけであれば問題はないかもしれませんが、退職する場合引き続き広告アカウントを確認できる状態となり外部への情報漏洩へとつながる恐れがあります。

また特定の担当者のみしか確認できない状態だと退職などでいなくなった場合、第三者が広告アカウントにアクセスできなくなる可能性もあります。そのようなことを防ぐために事前に広告アカウントのアクセス権は適切に設定されているのか必ず確認しておきましょう。

過去のレポートは全て確認できる状態になっているか

広告管理画面には過去の数字はすべて記録されており確認することは出来ます。しかし個別の施策単位ではそれぞれどのような目的でどのような結果となったのかまでは読み解くことが出来ません。引き継ぐ際はこれまで取り組んできたことを確認出来るようにしておきましょう。

  • これまで行った施策
  • 施策実施後の結果と検証
  • 考えられる課題
  • 今後取り組んでくべき内容

新担当者の教育・トレーニングを行える環境は整っているのか

広告運用の自動化が進み様々な業務は軽減されてきていますが、変わらず運用者でなければ判断出来ない部分も存在しています。自動化が進んでいるのでいきなり任せても大丈夫とは考えずに必ず社内で広告運用の教育・トレーニングを実施できる環境を整えておきましょう。特にテレワークが進んでいる現在は新担当者が不明点を「確認しやすい」状況を作ることがとても重要です。

広告運用は中長期的に行うことを再認識しよう

広告運用は中長期的に行うものであり一人の担当で実施し続けるケースは少ないかと思います。誰が引き継いでも同様もしくはそれ以上のパフォーマンスが出せるよう心掛けておきましょう!

今回は以上となります。

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Hiroshi Shimada

リクルートにて求人広告制作のディレクター、Googleにてアカウントマネージャーをそれぞれ経験。その後、健康コーポレーション(現RIZAP)にて、WEB施策のデータ分析を行う部署を統括。直近10年はWEBマーケティングに専念しているが、広告領域の業務で言えば22年の経験。オンライン・オフラインどちらの戦略立案・実施・分析においても、知識・経験が圧倒的に豊富なマーケター。