インターネット広告の浸透に伴い成長を続けているアフィリエイト広告。しかし広告の不当表示など様々な課題も見えており昨年から今年にかけて消費者庁を中心にアフィリエイト広告について検討会が実施されていました。そして2022年6月29日にアフィリエイト広告に関する新しい指針が発表されました。どのような内容であったのかを共有させていただきます。

事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針

不当な表示を抑制するための指針である

不当表示等など景品表示法違反を未然に防止するために必要な措置をとりまとめたものです。違法とならないかどうかを判断する上で必要な事項を確認すること、確認した事項を適切に管理するために講じるべきことを指針として発表しています。

公布された指針内容

具体的に行なうのは下記のとおりです。

①景品表示法の考え方の周知・啓発

事業者は、不当表示等の防止のため、景品表示法の考え方について、表示等に関係している自社の役員及び従業員(注3)(以下「関係従業員等」という。)にその職務に応じた周知・啓発を行うこと

アフィリエイターを含めて関係者に対して景表法の考え方について認知活動を行うことを方針として示しています。

②法令遵守の方針等の明確化

事業者は、不当表示等の防止のため、自社の景品表示法を含む法令遵守の方針や法令遵守のためにとるべき手順等を明確化すること

関係者が増えると遵守する方針内容が適切に共有されず結果不正表示につながる可能性があります。手順内容を作成して皆が同じ基準で遵守する状況を作ることを方針として示しています。

③表示等に関する情報の確認

事業者は、
(1)景品類を提供しようとする場合、違法とならない景品類の価額の最高額・総額・種類・提供の方法等を、
(2)とりわけ、商品又は役務の長所や要点を一般消費者に訴求するために、その内容等について積極的に表示を行う場合には、当該表示の根拠となる情報を確認すること

作成する広告に根拠があるかを事業者が確認することを求めています。アフィリエイトプログラムも同様に確認することが必要となる場合がある旨を明記しています。

④表示等に関する情報の共有

事業者は、その規模等に応じ、前記3のとおり確認した情報を、当該表示等に関係する各組織部門が不当表示等を防止する上で必要に応じて共有し確認できるようにすること

社内だけではなく広告表示に関する情報をアフィリエイターにも共有することを方針として示しています。

⑤表示等を管理するための担当者等を定めること

事業者は、表示等に関する事項を適正に管理するため、表示等を管理する担当者又は担当部門(以下「表示等管理担当者」という。)をあらかじめ定めること

③を実行するために担当を付けることを方針として示しています。

⑥表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること

事業者は、前記3のとおり確認した表示等に関する情報を、表示等の対象となる商品又は役務が一般消費者に供給され得ると合理的に考えられる期間、事後的に確認するために、例えば、資料の保管等必要な措置を採ること

⑦不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応

事業者は、特定の商品又は役務に景品表示法違反又はそのおそれがある事案が発生した場合、その事案に対処するため、次の措置を講じること

取り入れてリスクヘッジに努めることが重要である

今回の内容は指針であり行なわない場合でも具体的な罰則があるわけではありません。しかし取り入れることで起こりえるリスクを回避することが出来るようになります。

現在の景表法の考え方では措置命令を受ける場合の責任の主体は「商品・サービスの事業者(広告主)」です。

薬機法
景表法
目的
消費者の商品・サービスの有効性・安全性を保護する
消費者の利益保護のため、事実と異なる内容や大げさな表現は禁止する
確認事項
薬機法第66条等の基準を越えていないか
優良・有利誤認などの不当表示となっていないか
措置命令を受ける対象
広告に関わる全ての人・事業者
商品・サービスの事業者
課徴金
取引によって得られた売上額の4.5%※該当期間は不当表示を行なった最大3年間
取引によって得られた売上額の3%※該当期間は不当表示を行なった最大3年間

事業者(広告主)が見えていないところで表記ルールを守られていない広告が作られることはとても危険であり、アフィリエイト広告含めてどのような広告が作成されているのかを把握することはとても重要になります。今回の指針を参考にして安全に広告を運用出来るよう取り組んでいきましょう。

 

なお景表法・薬機法など広告の法律に関する記事もございますのでお読みいただけると幸いです。

 

【薬機法】その体験談はNG?体験談で言えること・言えないこと

【薬機法・景表法】その記事は広告?広告を定義づける3つの要件

違法サイトから自社と広告主を守るために。(「漫画村」の賠償命令ニュースを受けて)

【ステマ記事】SNS上の記事も措置命令の対象?今回の事例でわかったこと

【景表法/比較広告】そのランキング、根拠はありますか?

【景表法】その広告表現は危険?有利誤認・優良誤認となる表現

【二重価格】気が付かずに行ってしまう不当表示について

 

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Hiroshi Shimada

リクルートにて求人広告制作のディレクター、Googleにてアカウントマネージャーをそれぞれ経験。その後、健康コーポレーション(現RIZAP)にて、WEB施策のデータ分析を行う部署を統括。直近10年はWEBマーケティングに専念しているが、広告領域の業務で言えば22年の経験。オンライン・オフラインどちらの戦略立案・実施・分析においても、知識・経験が圧倒的に豊富なマーケター。