スキンケア化粧品などの広告では、実際に使用している方の体験談がとても重要なコンテンツとなります。しかし体験談といえど、表現可能な内容、表現が不可となる内容が定められています。今回は体験談で、いえること言えないことについてのお話となります。

体験談であっても範囲を超えた効果効能については言及できない

体験談は実際のユーザーの声を表しており、広告表現として問題ないように思われがちですが、体験談であっても表現可能な範囲を超えた表現はNGとなります。例えば「シミが消えた」など。一部のユーザーのコメントを基にして、あたかも全ユーザーに対しても同様の効果効能を期待できると思わせてしまうため表現上NGとなるのです。打ち消し表現となる「個人の感想であり効果を保証するものではありません」と入れれば問題ないのではないか?と考える方もいるかもしれないですが、同様の理由で入れたとしてもNGであることには変わりません。

化粧品で表現可能な効果効能

では表現可能な効果効能とはなにか。化粧品で表現可能としている効果効能は下記の56の内容となります。

(1)頭皮、毛髪を清浄にする。 (21)皮膚をすこやかに保つ。 (41)爪にうるおいを与える。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。 (22)肌荒れを防ぐ。 (42)口唇の荒れを防ぐ。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。 (23)肌をひきしめる。 (43)口唇のキメを整える。
(4)毛髪にはり、こしを与える。 (24)皮膚にうるおいを与える。 (44)口唇にうるおいを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。 (25)皮膚の水分、油分を補い保つ。 (45)口唇をすこやかにする。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。 (26)皮膚の柔軟性を保つ。 (46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(7)毛髪をしなやかにする。 (27)皮膚を保護する。 (47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(8)クシどおりをよくする。 (28)皮膚の乾燥を防ぐ。 (48)口唇を滑らかにする。
(9)毛髪のつやを保つ。 (29)肌を柔らげる。 (49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(10)毛髪につやを与える。 (30)肌にはりを与える。 (50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(11)フケ、カユミがとれる。 (31)肌にツヤを与える。 (51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(12)フケ、カユミを抑える。 (32)肌を滑らかにする。 (52)口中を浄化する(歯みがき類)。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。 (33)ひげを剃りやすくする。 (53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。 (34)ひがそり後の肌を整える。 (54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(15)髪型を整え、保持する。 (35)あせもを防ぐ(打粉)。 (55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(16)毛髪の帯電を防止する。 (36)日やけを防ぐ。 (56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。 (37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。 (38)芳香を与える。
(19)肌を整える。 (39)爪を保護する。
(20)肌のキメを整える。 (40)爪をすこやかに保つ。

・上記「皮膚」と「肌」の使い分けは可。 ・上記「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。・上記括弧内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。

使用感やメーキャップ効果に関することは表現可能

ではその他に体験談で何が言えるのでしょうか。

商品の使用感

実際に商品を使用した際の使用感については表記可能です。たとえば「肌触りが良い」や「クリームの伸びがいい」などは問題なく体験談として使用できます。

商品を使用して得られるメーキャップ効果

表現可能な内容としてメーキャップ効果も挙げられます。メーキャップ効果とは、化粧により見えにくくする、隠すなどの「物理的効果」のことを指しています。

化粧品等の適正広告ガイドライン 2020 年版・改正新旧対照表(19ページ・ 化粧品に定められた効能効果以外の表現)

化粧品の効能効果の範囲に掲げる効能効果
以外にメーキャップ効果等の物理的効果及び使用感を表示
し、広告することは事実に反しない限り認められる。

事実に反しない限り、広告表現が可能な内容となります。ただし上記の通り56の効能範囲を超えた表現はNGであることは変わりません。56の表現を越えた内容になっていないか注意しましょう。

掲載可能な範囲について理解しておくことが重要

体験談といえど、なんでも使用できるわけではありません。なにが表記可能なのかを理解したうえで、効果的に広告に使用しましょう。判断が出来ず一律体験談を掲載しないという判断ではあまりにもったいないですし、反対に何でも掲載してしまうのはとても危険です。判断基準を明確にして、安全かつ高い効果を持つ広告を生み出していきましょう。

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Hiroshi Shimada

リクルートにて求人広告制作のディレクター、Googleにてアカウントマネージャーをそれぞれ経験。その後、健康コーポレーション(現RIZAP)にて、WEB施策のデータ分析を行う部署を統括。直近10年はWEBマーケティングに専念しているが、広告領域の業務で言えば22年の経験。オンライン・オフラインどちらの戦略立案・実施・分析においても、知識・経験が圧倒的に豊富なマーケター。