広告運用者は、コンバージョン率やクリック率をあげるために、広告文の表現内容を強めに表現することがあるかと思います。しかし表現の中には法律に違反する場合もあります。今回は広告表示する際に注意を払う必要がある「優良誤認」「有利誤認」についてお話しいたします。

景表法では嘘や大げさな表現は禁止している

まず大前提として、景表法(景品表示法)では、消費者の利益保護のために、事実と異なる内容や大げさな表現は禁止しています。消費者が商品を選択する際に適切な判断が出来なくなるためです。不当な表示がされることがないように禁止事項として設けられているのが「優良誤認」「有利誤認」です。

優良誤認表示(主に商品の品質や中身)

(1)実際のものよりも著しく優良であると示すもの
(2)事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの

合理的な根拠がないにもかかわらず「良い商品・サービスだ」と思わせる表現は優良誤認となります。

有利誤認表示(主に価格などの取引条件)

(1)実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
(2)競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの

取引条件を有利に見せかけて「お得な商品・サービスだ」と思わせる表現は有利誤認となります。

その他 誤認されるおそれのある表示

消費者に著しく誤認される可能性があるとして、別途指定されている表示内容です。現在は商品の原産国や不動産のおとり広告などの6項目が定められています。

優良誤認・有利誤認の例

優良誤認事例:10万キロ走行している中古車を「走行距離3万キロ」として表示

事実と異なる内容を明記して商品を良く見せるという内容です。実際に3万キロが10万キロに比べて何が良いのかどうかという点は論点ではなく、走行距離が少なくなったという点がユーザーに「良い商品である」と認識(誤認)させてしまう点で優良誤認とみなされます。

有利誤認事例:定期販売している商品を、定期であることをわかりにくくした上で〇%安くなっていると表示

単品販売価格と比べて定期販売価は安い価格に設定されているのが一般的です。その特徴を利用して定期販売であることを分かりにくくして、単品販売より〇%安くなっていると認識(誤認)させて購入を狙う手法は、有利誤認にあたる表現となります。ここでよく論点になるのが、定期であることが広告内(サイト内)に書かれていれば問題はないのではないかという点。しかしここで問われているのはユーザーが「誤認するか否か」です。ページ内に定期価格であることが書かれていたとしても、〇%安いと書かれている文言の側に定期購入である旨が明記されていない場合は「通常価格より安く販売している」と誤認させる可能性があるということです。

法を守りつつ効果の出る広告を作ることが今後さらに求められる

薬機法の改正など含めて、今後さらに広告に対して厳しいチェックが入ることが予測されます。法律を守りつつ、効果の出る広告を作ることが今後さらに求められてきます。

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Hiroshi Shimada

リクルートにて求人広告制作のディレクター、Googleにてアカウントマネージャーをそれぞれ経験。その後、健康コーポレーション(現RIZAP)にて、WEB施策のデータ分析を行う部署を統括。直近10年はWEBマーケティングに専念しているが、広告領域の業務で言えば22年の経験。オンライン・オフラインどちらの戦略立案・実施・分析においても、知識・経験が圧倒的に豊富なマーケター。