アフィリエイト広告でよく見られる広告手法として、比較広告ががあります。自社の商品・サービスを、他商品・サービスと並べてその差を比べることで、優れた点を見えやすくする広告手法です。ユーザー目線からみても、商品の優位性がわかりやすく、どの商品が自分に合っているか探しやすいよい広告手法だなと思っています。実際に売れているといわれるアフィリエイトサイトでは採り入れています。では比較広告は、積極的に取り入れた方がいいのでしょうか。法律という観点でみると、気を付けなければならない点がいくつかあります。今回はそんなお話です。

比較広告とは

改めてですが、比較広告とは、自社サービスと他社サービスを比較して優位点をアピールする広告手法です。過去ランキングサイトの記事もありますので、詳細はこちらをご覧ください。

【景表法/比較広告】そのランキング、根拠はありますか?

消費者庁も比較広告に関する考え方を明記しています。

比較広告に関する景品表示法上の考え方(消費者庁)

比較広告は下記の3つの条件を満たす必要があります。

・比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること

・実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること

・比較の方法が公正であること

つまり比較する際は、実証できる数字を基にして、適正に比較しないといけませんよということです。この3点を満たす必要性を考慮すると、いくつかの課題が浮かび上がってきます。

広告主にとって考えられるリスク

上記を踏まえて、想定される懸念をピックアップしてみます。

情報コントロールが難しいアフィリエイト広告で活用されることが多い

比較広告は、実証可能な数字を基にした比較することが重要になります。しかし商品・サービスの販売を行うアフィリエイト側では、詳細な情報を持っていることは少なく、公平に比較することが出来ない可能性があります。その場合、情報提示を求められる際に必要な情報を出すことが出来ず景表法に抵触するという懸念があります。また商品サービスの最新の情報というのは広告主しか持ちえない場合が多く、古い情報で比較された場合も、同様に適切な情報を提示することが出来ず抵触する懸念があります。

法律を自分事だと考えていないことから生まれるリスクがある

景表法のルールによるところ大きいのですが、現状は景表法で抵触することがあった場合、措置命令を受けるのは全て広告主になるという現状があります。アフィリエイターが販売に注力するあまり、誤認する形で比較広告を行った場合、措置命令は全て広告主が引き受けることになります。比較広告は景表法で指摘されやすい広告手法であり、通常の広告と比べてリスクが高くなりやすい特徴があります。

そもそも公正な比較を行うことが難しい

比較広告は比較方法が公正である必要があるのですが、商品サービスの数字比較は単純に難しいことが懸念されます。商品サービスが異なるとそもそも正確な比較自体が難しく、公正になりにくいことが想定されます。販売を目的とするアフィリエイトサイトの場合は、比較方法が偏ってしまう可能性があり、公正ではないと指摘される懸念があります。

比較広告として表示可能な範囲を定めておく

比較広告は成果を出しやすい方法であるものの、満たさないといけない要件・ルールが存在し、広告を出す際は際は細心の注意となるのです。

比較する範囲は自社データのみに限定する

他社と比較する広告は法律上リスクが高く、比較する際は自社商品・サービスの範囲で行うようにしましょう。化粧品等の適正広告ガイドラインにおいては明確に他社との比較は禁止しています。

化粧品等の適正広告ガイドライン

① 製品同士の比較広告を行う場合は、自社製品の範囲で、その対照製品の名称を明示す
る場合に限定し、明示的であると暗示的であるとを問わず他社品との比較広告は行わ
ないこと。
② 誹謗・比較の有無に関わらず、広告に他社の製品の名称(製品の販売名、略称、愛称、
ブランド名等)を無断で使用しないこと。また、直接的に名称を表現しない場合であっ
ても他社製品を暗示した広告を行わないこと。

協力してくれる方々に表示可能な範囲を共有する

販売してくれるアフィリエイターが、その気がなくても抵触することがないようにするために、広告主側から広告表示に関するルールを提示しておきましょう。ルールによる縛りは一般的にコンバージョン率低下、販売してくれるアフィリエイターの離脱をまねく可能性があります。打ち手として考えることはいくつもあります。これは別の記事で書いてみようかと思います。

常に客観的なデータを出せる準備をしておく

比較の結果を示すデータはすべて客観的に証拠が必要になります。必ずデータを出来る準備はしておきましょう。これは比較広告に関わらず、広告で特徴を示す際は全般に言えることですが。

比較広告は、消費者から見てもわかりやすく利点も多いです。要件をきちんと理解したうえで、適切に打ち出していきましょう。

 

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Hiroshi Shimada

リクルートにて求人広告制作のディレクター、Googleにてアカウントマネージャーをそれぞれ経験。その後、健康コーポレーション(現RIZAP)にて、WEB施策のデータ分析を行う部署を統括。直近10年はWEBマーケティングに専念しているが、広告領域の業務で言えば22年の経験。オンライン・オフラインどちらの戦略立案・実施・分析においても、知識・経験が圧倒的に豊富なマーケター。