全く新しい新商品・サービス等では目標となる数字がほぼ決まっていない状況で広告運用を始めるケースがあります。その際にネットに落ちている「自社以外の情報」を基にして指標を決定するケースがあります。参考にするのはよいのですが、自社ビジネスを考慮せずに目標CPAを決定することは実現不可能な数字を設定する可能性があり注意が必要です。

【広告運用初心者が陥りがちなこと】

新商品の目標CPAをネットに落ちている情報を基に決定した

実現不可能な数字を設定してしまう恐れがある

ではなぜ注意が必要なのでしょうか。一言でいえば自社と他社では置かれている況がまったく異なるため、参考にすることが難しい為です。実現不可能な数字を設定してしまう恐れがあります。

なお改めてとはなりますがCPAはどのように決定されているのかを明記しておきます。

CPAは「クリック単価」と「コンバージョン率」により計算することが出来ます。クリック単価、コンバージョン単価が実際の数字と大きく乖離してしまうと実現不可能な数字になってしまいます。

検索市場や会社規模が異なればクリック単価は異なる

現在の運用型広告のクリック単価は主にオークションによって決定されます。複数の広告主が限られた検索結果の広告枠に対して入札を行っており、1クリックが数十円の市場もあれば1クリックが千円を越える市場まで存在します。広告の品質によって上振れ下振れはありますが大まかな市場単価はキーワードに依存します。ネットに落ちている情報ではこれらの数字を平均した数字となってるケースが多いため実際の運用時の数字と異なることがあります。

サイトが異なればコンバージョン率が異なる

コンバージョン率はサイトの構成、コンテンツ、訴求内容によって全く異なります。競合他社のコンバージョン率を参考にしても商品・サービスが異なればその通りの数字にはならないことが多くあまり参考にはならないケースが多いです。また他社と認知度が大きく異なる場合もコンバージョン率は異なってきます。

ビジネスモデルが異なれば許容できるCPAが異なる

許容CPAの算出方法はかかえているビジネスモデルによって大きく変わります。たとえばリピート性のある消費・サービスであればLTVを基に算出することがあります。単品通販の場合はLTVは加味せずに一回当たりの購入単価を基に設定していることがあります。企業それぞれのビジネスモデルを基に決めているものでありそのまま参考にすることは難しいケースが多いです。

【限界CPA】そのCPAは適切ですか?LTVを基にCPAを考える理由。

自社のビジネスモデル・サイトでの実績を基に算出する

自社の目標CPAは決定する際は必ず自社内の各数字を参考にして算出することを心掛けましょう。

想定している検索キーワードのクリック単価の市場を調べる

想定されるクリック単価はキーワードプランナーというツールを用いて調べる方法があります。考えているキーワードで掲載する際にかかるであろう入札単価、平均の月間ボリューム、競合の多さなどを確認することが可能です。ツールから想定されるクリック単価を調べておきましょう。

【検索広告】検索市場の相場観を事前に調べる3つの理由

Google Analytics(グーグルアナリティクス)等を用いて想定されるコンバージョン率を調べる

コンバージョン率はどのように調べるのでしょうか。すでにサイトが存在している場合はGoogle Analyticsを用いて検索エンジン経由でのコンバージョン率を調べる方法があります。Google Analyticsでは検索クエリ、ランディングページの実績を確認することが可能なので想定されるコンバージョン率を調べる形が適切です。

しかし今回のように新規商品のためデータが存在しない場合は仮のコンバージョン率を当てはめておきましょう(指名検索の場合は仮で5%、一般検索の場合は仮で1%など)。当てはめるのはあくまで仮の数字であり、広告稼働後は実績を参考にして改めて目標CPAを設定仕直します。運用型広告の良い点は適時実績を確認できる点です。

最後に

目標CPAは広告運用する際の目標となる重要な数字となります。明らかに追いかけるのが難しい数字を設定しても広告運用者は疲弊するだけですし広告主も売り上げを上げることが出来ず誰も幸せになりません。意味のある広告運用をおこなうためにも目標CPAは自社ビジネスを基に設定するようにしましょうね。

今回は以上となります。

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Hiroshi Shimada

リクルートにて求人広告制作のディレクター、Googleにてアカウントマネージャーをそれぞれ経験。その後、健康コーポレーション(現RIZAP)にて、WEB施策のデータ分析を行う部署を統括。直近10年はWEBマーケティングに専念しているが、広告領域の業務で言えば22年の経験。オンライン・オフラインどちらの戦略立案・実施・分析においても、知識・経験が圧倒的に豊富なマーケター。