インハウス化とは広告代理店などに依頼せずに、広告運用を社内のリソースで行うことを指します。直近ではこのインハウス化の動きが加速しています。ではなぜ今、各企業はインハウス化に注目しているのでしょうか?本記事では、インハウス化の基本的な情報から、そのメリットやデメリット、成功させるためのポイントまでを詳しく解説します。

インハウス化とは?

「インハウス化」とは、広告運用やマーケティングの業務を自社内で行うことを指します。特に、運用型広告のインハウス化は、広告の設計・運用・分析・広告の制作・テキストの作成といった一連のプロセスを全て自社で対応しなくてはならないため、最低限の知識を持ち合わせておく必要があります。安易にインハウス化に踏み切るとかえって成果が悪化するという事を理解する必要があります。

インターネット広告運用のインハウス化は簡単に成功するわけではないという話

インハウス化のメリット

では、インハウス化のメリットについて紹介していきましょう。

コスト削減

まずは、コストの削減です。これまで広告代理店に支払っていた運用手数料がかからなくなるため、その手数料分を広告配信費に回せたり、手数料分がまるっと削減されることで獲得効率(CPA)が改善されます。

手数料と言っても代理店によって違いがあります。月額固定費の場合もあれば、広告配信費に応じて手数料が変化する変動型もあります。変動の場合は10%~20%を手数料として設定している代理店が多いです。例えば、今まで100万円を運用広告配信費として投下していた場合、10万~20万を代理店に支払っている事になります。その分の費用が浮くという点でメリットを感じやすいのではないでしょうか。

ノウハウ・ナレッジの蓄積

広告運用に関するノウハウが社内に蓄積される事もメリットの一つです。自社の顧客に対して最も適した広告戦略を社内で構築できるため、時間が経つにつれて運用精度が上がり、結果的に広告の効果も向上します。

運用のPDCA高速化

自社内で運用を行うことで、クリエイティブの変更やターゲティングの見直しといった事が自社内で完結するため、すぐに変更内容を反映することができます。代理店が介在する場合、代理店がクリエイティブを制作・テキスト案制作・ターゲット案出しを行い、依頼主に確認を行うフローが発生します。

さらに代理店担当者は他の案件も多く抱えているケースが多いため、他に優先度が高い業務を抱えている場合は後回しにされてしまうケースも往々にして発生します。

例えば、テキスト案を出すにしても、2時間で終えるところ、代理店が対応すると2~3営業日かかるという事もあります。時間的なアドバンテージも味方にできるのがインハウス化のメリットと言えます。

インハウス化のデメリット

では、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

リソースの確保が必要

社内で腰を据えて広告運用を行うとなると、ある程度運用業務を専門的にこなすメンバーの確保が必要になります。広告媒体が複数あったり、広告を配信するサービスが多岐にわたったりすると、一人では賄いきれなくなるため、その分運用者を補完する必要が出てきます。
また、インハウス化をスピード感をもって進めるためには、経験者の採用も重要です。特にスキルの高いデジタルマーケターは市場価値が高く獲得するのが難しいのが現状です。
また、せっかく育った人材が退職してしまうというリスクもあります。

初期費用や時間がかかる

社内でチームを立ち上げて、安定的に広告運用を回せるようになるには費用や時間がかかります。費用については、広告運用を行うための研修やセミナー・運用やデータ管理に必要なツールを導入など、初期にかかる費用がかかってきます。また、チームが広告運用のスキルを習得するまでに時間がかかることもデメリットです。短期的にはコストや時間がかかるため、インハウス化は中長期的な投資と捉える必要があります。インハウス化するために必要な時間などをまとめた記事もございますので、併せてご確認ください。

インターネット広告運用のインハウス化が軌道に乗るまでどのくらいの期間がかかるか?

ノウハウや情報が入ってこないリスク

広告代理店が持つ豊富な経験やノウハウ・最新の情報が入ってこなくなるリスクがあります。特に、変化の速いデジタル広告のトレンドや技術に追いつくためには、常にアンテナを立てて情報をピックアップする必要があります。また、媒体社から代理店にしか流れてこない情報などへのアクセスは0になるという事も理解しておく必要があります。

以下記事ではインハウス後に発生する課題についてまとめています。

【広告運用】経験者が語るインハウス運用が直面する課題とは?

運用型広告のインハウス化が進む理由

メリットデメリットをご紹介してきましたが、インハウス化が進んでいる理由はメリットだけを感じて進めているわけではないように思います。
インハウス化が進む理由について考えてみました。

デジタル広告におけるAIの進歩

デジタル広告の歴史は浅く、特に運用型広告については、まだ20年程です。登場して間もないころは広告の成果に応じて、手動で運用するのが主流でした。そこには経験とノウハウがついて回っていましたが、今では、成果につながるかつながらないかはAIが判断して、配信のコントロールを行っています。そのため、あまり経験のない人でも広告運用は比較的取り掛かりやすいものになっています。

広告管理画面の進化

GoogleやYahoo!などの広告管理画面が進化しており、基本的な広告の知識(キャンペーン×広告グループ×広告の構成の仕組みやできる事の理解)があれば直感的な操作でもある程度は設定・運用ができます。また媒体社のサポートも充実しており、電話での相談やオンラインのミーティングの実施もあるため、広告運用は比較的ハードルが下がっています。

インハウス化を成功させるためのポイント

インハウス化を成功させるためにはどのような事を実践すればよいのか、いくつかポイントがあります。

社内チームの育成

第一に、運用するチームの育成が重要です。その育成方法としては、いくつかあります。

定期的なトレーニングの実施

広告運用経験者がいれば社内での勉強会や、定期的な広告運用にまつわるテストを実施するとよいでしょう。媒体社が用意しているスキルアップの講座や学習材料もあるため、それらを用いてスキルや知識を高めていきます。

セミナーへの参加

広告代理店が行っているセミナーにも情報収集のために参加するのもよいと思います。無料のものや有料のセミナーなどもあります。セミナーのアーカイブ配信もあるので、積極的に参加しましょう。

チームでノウハウを蓄積(属人化しない)

運用者が日々運用していく中で、アカウントに加えた変化や調整内容を常に記録するようにしましょう。それで得られた成果を月に一度簡単でいいのでまとめ、社内で共有し理解することでノウハウがたまります。これらを怠ると、運用者のみが知識や経験が増え、企業としての資産として残らなくなります。

関連記事:インハウス広告運用:成功のヒント「実施した施策は必ず社内共有される形で記録しておく」

パートナーシップの活用

どうしても内製化が難しい業務については部分的に外部に委託するのも手です。インハウスチームを作ったからといって全て内製化しようとすると、業務過多となり、メンバーに不満が出たりストレスの原因になりかねません。例えばバナー制作やホームページの改修のみ、外部のデザイン会社に委託するなどして、メンバーの負荷を軽減します。

インハウス化を支援している企業にサポートを仰ぐ

何から手をつけていいかわからない、高速でインハウス化したい場合は、インハウス支援企業に短期間だけ伴走してもらうという事も可能です。広告が安定的にインハウス運用できるまで、運用のポイントや分析の方法、改善提案などを行いノウハウを蓄積していきます。支援中はもちろん手数料が発生しますが、短期間の投資で、その後企業の資産となる広告運用のノウハウを手に入れる事ができるので、本格的にインハウス化を目指される企業にオススメです。

弊社では、インハウス化を目指される企業を応援するプランのご用意がございます。面倒なタグの設置や初動のアカウント構成・アカウントの設定などをサポートいたします。

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まとめ

広告のインハウス化は、コストパフォーマンスや社内のナレッジの蓄積・運用の高速化など得られるメリットが大きく、インハウス化を促進している企業が増えているのも事実です。しかし、インハウス化にはリソースや初期投資の問題もあり、全ての企業に適しているわけではありません。企業ごとのニーズやリソースに応じて、慎重に検討することが重要です。

 

 

 

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Masahiro Ozeki

株式会社援軍の社員。主にWEB広告のディレクション、運用プランナー。元大手ネット広告代理店インターネットプロモーション部門で、マネジメント兼プランナーとしてWEB・アプリ領域それぞれのプロモーションを担当。業界歴約10年。より顧客と寄り添ったサービス提供がしたいという気持ちが強くなり、2020年11月にデジタルマーケティング支援の何でも屋 援軍に入社。