広告運用を「インハウス化」しようと考えている会社は多いかと思います。

インハウスとは、広告代理店へ広告運用を依頼するのではなく、
自社内で運用することを言います。

インハウス化の理由としては、
単純に広告代理店への手数料がなくなることによるコストメリットの部分と、
広告運用のスピード感や自社へのノウハウの蓄積などが上げられるのではないでしょうか。

メリットが多そうなインハウス運用ですが、
過去、Web広告代理店、事業会社(インハウス運用)、事業会社(広告代理店運用)を経験してきましたので、
様々な視点から見えたインハウス運用が直面する課題を今回まとめていこうと思います。

 

インハウス運用の課題とは

 

①情報や事例のアップデート

広告代理店に運用を依頼していると黙っていても最新の情報の共有や業界や他社事例に基づいた新規施策の提案等を
してもらえることがほとんどだと思います。
自社内で運用を行うとすると、そこのアップデートが完全に止まってしまうため、
新機能の上手な活用方法などについて、広告代理店運用であればある程度うまくいった設計からスタートできますが、
自社内であれば、仮説設計し、テストをしていくことから始める必要があります。

ある程度、月額広告予算を利用している会社であれば、
Googleなど媒体社の専属担当がつくことがありますので多少改善されますが、
それでも媒体社から得られる情報と広告代理店から得られる情報は異なりますので、
デメリットになると思います。

会社内に様々な事業があり、事業ごとに広告担当者がいる場合は、
体制を構築することで横串での情報共有が可能になりますが、
社内の広告担当者が1名や少人数の場合、直面しやすい課題であると考えます。

 

②広告運用経験者の採用

元々自社内に経験者がいればよいのですが、
多くの場合、「採用」から始まることが多いと思います。

代理店に運用を委託する場合であれば、採用する際のスキルセットとして、
「Web広告に詳しい」「チームマネジメント経験がある」などで十分なのですが、
インハウス運用の場合は「運用実務経験がある」というのが必須になります。

運用実務経験があるとはいっても、
昨今のWeb広告代理店では広告運用が分業化されている関係で、
運用実務における断片的な実務経験のみを有していることが多く、
インハウス運用に必要な一通りの実務経験を有している方は
意外と少ない状況になると思います。

③広告運用担当の退職

運用担当も採用でき、運用が軌道に乗ったところで、
常に付きまとうのが担当者の退職です。

広告運用部門の退職は、スキルの観点で他の事業部からの異動で補充することも難しく、
新たに採用する必要が出てきます。

複数名でチームを構築し、体制ができている場合は問題ないのですが、
属人的に対応していた場合、その担当者が退職することでまた1からやり直しになってしまいます。

ただチームを構築すると複数名の人件費がかかることにより、
冒頭にあげたコストメリットが薄れることになりますので、
インハウス運用を本格的に実施する場合は意外とコストメリットないよねということになることに
気づくケースも多いかと思います。

最後に…意外と難しい広告運用

代理店に委託している場合に、報告内容や対応内容に不満を持ち、
「これだったら自社でも運用できるのは?」と思うこともしばしばあるかと思います。

実際のところ、昨今は自動入札が発達してきたのでコンバージョン獲得が安定している場合は、
代理店に依頼していなくてもうまく回ることは多いです。

ただ、広告出稿を拡大するとき、コンバージョンが急に取れなくなったときでは、
話が大きく変わってきます。

一度不安定になったときに元の状態に戻すこともすら難しいこともあるので、
その点は広告運用におけるスキル経験が必要になる場面かと思います。

一概にインハウス運用にするべき!であったり、
広告代理店に委託することが正だ!とは考えておらず、
会社・事業に応じて選択をしていく必要があるかと思います。

参考になれば幸いです。

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Hirofumi Nishi

大手インターネット広告代理店のセプテーニにてSEM及びディスプレイ領域のコンサルタントとして約3年間従事したのち、外資系の共同購入型クーポンサイト運営会社に4年間在籍。インハウスの広告運用担当として急速な事業成長に貢献。その後、カカクコムのマーケティング本部プロモーションチームの初期メンバーとして入社。主に金融領域・通信領域の広告効果最大化に4年程度注力したのち、スキルの幅を広げるためにWebディレクターとしてサイト改善の施策立案・ディレクションを担当。2022年、株式会社援軍に参画。