広告運用の分析は慣れない方にとってはとても難しいものだと思います。
そこで今回は、グラフを用いた視覚的なデータ分析の方法を実例を用いて4つ紹介します。

事例1:目標と実績の比較

まずは、CV数の目標値と実績の比較方法です。
分析の基本は比較ですが、その中でも最も基本的で大事な目標と実績の比較です。
比較には棒グラフを使います。

事例2:CV数の変化におけるCV率・クリック数の影響

ある目的の指標(CV数)と要因の指標(CV率・クリック数)を分析する際は折れ線グラフを使うとわかりやすいです。
目的の指標への影響が大きい指標は、グラフ上で相関性が高い指標となります。
相関性の高さはグラフの動き方の類似性と考えて問題ないです。

具体例として、CV数の変化における指標の影響度合いを分析します。
CV数=クリック数xCV率ですから、見るべき指標はクリック数とCV率になります。
ちなみに、クリック数・CV数・CV率はそれぞれ数字の規模が異なるため、3つを同じグラフで分析する場合は、特定の基準値を100%となるように数値を加工してから分析しましょう。
下のグラフでは、各指標について1月の値を100%としています。
こうするとCV数において、クリック数・CV率どちらの影響度が大きいか、グラフから視覚的に判断しやすくなります。
以下の場合は、3月はCV率が影響し、4月以降はクリック数が影響していると判断できます。

事例3:CV数の構成要素を分析

ある指標について、構成要素ごとのボリューム感を可視化したい場合は、積み上げ棒グラフがおすすめです。
例えば、下記のようにキャンペーン別のCV数を積み上げ棒グラフにすると、どこのキャンペーンでCVを多く獲得できているか把握できます。

ちなみに、CV数の増減について、どのキャンペーンが影響しているか見る場合には折れ線グラフで見るのがおすすめです。
こちらの方が上のグラフよりも増減の大きいキャンペーンを正確に把握しやすいです。

事例4:CV率の変化をクリック数の構成比から分析

率に関する指標を分析する際には、分母となる指標においての構成比を分析するのがおすすめです。
事例として、CV率の変化を分析します。
CV率=CV数÷クリック数なので、分母はクリック数になります。
なので、CV率の変化が起きた場合、クリック数の構成比が変わっているという仮説を立てることができます。
この仮説を確かめるために使うのが、100%積み上げ棒グラフです。

クリック数の総数は月によって替わりますが、各月のクリック数の総数を100%としたグラフになります。
これによってクリック数の構成比率の変化が把握でき、構成比率の変化がCV率の変化に影響を与えているか見ることができます。
もちろん、構成比とクリック数が必ずしも連動して変化しているとは限らない場合もあります。
その場合はクリック数の大きいキャンペーンにおいてCV率の変化が起きていないか、折れ線グラフを活用して分析してみるとよいでしょう。

最後に:分析は仮説をもって行いましょう

広告運用における指標・構成要素の組み合わせは非常に多いため、ある程度仮説をもっていないと何をどう分析してよいのかわかりません。
そのため、分析を行う前には事前に仮説を立て、何を分析したいのか明確にすることがとても大事です。
この時立てる仮説は間違っていても大丈夫です。どういう軸で分析するかという目線を持つことが大事です。
この仮説を持っているかいないかで、分析にかかる時間も、そこから導き出せる考察も全く変わります。

今回は以上です。
本記事が多忙なマーケターの皆さんのお役に立てば幸いです。それでは。

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Kyotaro Yamaoka

横浜国立大学工学部卒。2児の父。重工業系エンジニアを経て、2015年にWebマーケティング業界に参入。電通アイソバーや博報堂DYデジタル、インティメートマージャーなどとの協業経験を経て、ベンチャー企業のリーダー運用者として多様な業種の広告主を支援。2021年に援軍入社。データ分析に強みを持つ理系ディレクター。