Googleから「検索広告とディスプレイ広告での拡張クリック単価の終了について」というお知らせがきました。長らく親しんだ入札方式の終了。その背景と今後の対応について書きます。

拡張クリック単価とは?

拡張クリック単価とは個別の入札単価設定にプラスしてコンバージョン獲得が期待できる(または期待できない)タイミングで自動的に調整してくれる機能です。

獲得が期待できるタイミングでは自動的に強化し、期待できないタイミングでは自動的に下げる調整が入ります。自動入札の場合、個別の入札単価は指定せず、目標のCPAやROASの値を設定しますが、拡張クリック単価は個別で設定した入札単価をベースとしつつ、+-20%程度の範囲の中で自動で調整が入ります。

いつ拡張クリック単価は終了?

新規キャンペーンに関しては、2024年10月より拡張クリック単価が選択できなくなるようです。既存のキャンペーンで使用している場合、2025年3月まではそのまま使えるとのこと2025年3月までにキャンペーンの設定を変更しなかった場合、個別クリック単価入札戦略に自動的に変更されます。

なぜ拡張クリック単価は終了となったのか?

10年ほど前に、Google の最初のスマート自動入札戦略として「拡張クリック単価」が登場しましたが、その後自動入札も進化を遂げて、コンバージョンの数を最大化する「コンバージョン数の最大化」や、任意で目標広告費用対効果を設定できる「コンバージョン値の最大化」などが登場しました。それらが「拡張クリック単価」以上の効果を期待できるため、というのが終了する理由です。「拡張クリック単価」はもう役目を終えたという感じでしょうか。

今後、新しいキャンペーン作成時はどうするのが良いか?

これまで新規キャンペーン作成時は「拡張クリック単価」で始めて、一定数(月間30件以上)のコンバージョンが蓄積されたら、自動入札に切り替えるというのが割とよくある流れでした。最適化するためのコンバージョンの実績がないと自動入札がうまく働かないからです。

しかし、今回の「拡張クリック単価」の終了を見ると、コンバージョンを計測する場合は最初から「コンバージョン数の最大化」や、「コンバージョン値の最大化」を設定することを推奨しています。つまり、実績がなくても、ある程度Google側が保有しているデータをもとに最適化がかけられるぐらい精度が上がっているのかなと。

今後は以下が推奨ということになります。

  • コンバージョン計測ありの場合
    • 「コンバージョン数の最大化」や、「コンバージョン値の最大化」
  • コンバージョン計測なし
    • 「クリック数の最大化」

以前、「コンバージョン数が少なくても自動入札は使うべきか」という記事を書きましたが、今回のリリースからすると、「使うべき」ということになるのでしょうね。

まとめ

これまでもアカウント内に既にいくつかのキャンペーンが動いている場合は、新しくキャンペーンを作って最初から自動入札でもうまくいくイメージがありましたが、今回の変更により、アカウント内にキャンペーン実績がなくても、最初から自動入札を選択しろということなので、かなり自動入札の精度も上がっていて、Google側も自信あるということなのでしょうね。

もう来月には拡張クリック単価はなくなってしまうので、もはや割り切って最初から自動入札入れることを前提して進めたほうが良さそうですね。

ではまた。

The following two tabs change content below.

Junichi Nakamura

前職は大手ネット広告代理店のインターネットプロモーション部門の部長。マネジメント兼プランナー/ディレクターとして、SEM、ディスプレイ領域中心に、業界問わず大手クライアントのプロモーション支援を行う。現場に拘り、コツコツと改善施策を積み上げながら、着実に改善に繋げていく職人。