4月より広告運用を任された方も多いのではないでしょうか。広告運用は分析・改善を伴う業務となりますが、広告運用の経験が少ない(もしくは経験がない)方にとっては、そもそも分析とはどのようにすればよいのかわからず戸惑う方も多いかと思います。そこで今回は分析するための基本的な考え方についてお話ししたいと思います。

期間で比較する

広告管理画面には数多くの実績が並びます。これらの実績が良いのか悪いのかを判断できるようにするため「比較」します。Google広告の管理画面を基に実際の数字で比較検証してみたいと思います。※事例では過去7日の実績を比較検証しています

なおGoogleの広告管理画面では右上にある期間から閲覧したい期間を選ぶことが出来ます。

どのキャンペーンの成果が良いのかもしくは成果が悪いのか

期間比較

A:コンバージョン数 +615

B:コンバージョン数 +818

C:コンバージョン数 +183

D:コンバージョン数 +139

E:コンバージョン数 -256

上記の結果を見てみると、キャンペーンによりばらつきはありますが全体的に向上しています。特にA・Bのキャンペーンはコンバージョン数の増加数も大きく、何が要因でコンバージョン数が伸びているのかを特定することが出来れば成果をさらに伸ばすことが出来そうです。分析はまず影響が大きい所を優先して見ていきましょう。

どの指標が成果に影響を与えているのか

コンバージョン数は様々な指標の結果で構成されています。コンバージョンの増減に寄与している代表的な指標は誘導に関する指標である広告の表示回数(率)、クリック数(率)、サイト流入後の獲得に関する指標としてコンバージョン数(率)が挙げられます。

コンバージョン数の変化要因を把握するため数字変化を確認してみます。

今回の結果を見てみると、AとBでは異なる傾向となりました。

期間比較

A:表示回数-4.6% クリック数13.7% コンバージョン率13.7% クリック率19.2%

B:表示回数41.8% クリック数31.4% コンバージョン率-6.8% クリック率-7.3%

Aはコンバージョン率・クリック率ともに良化。表示回数は低下傾向であった。

Bは表示回数は大きく増加。コンバージョン率・クリック率は低下傾向であった。

分割してさらに細かな軸で比較する

AとB共にコンバージョン数は伸びているものの、各指標は異なる状況であることはわかりました。それぞれ具体的な要因はこの段階ではわからないため、深堀して確認する必要があります。キャンペーンの詳細を把握するために設定しているオーディエンスの実績を確認します。

Google広告管理画面>オーディエンス

まずはAのキャンペーンです。Aのキャンペーンはリマーケティング施策(現在は広告主様のデータという呼び方となっています)であり、表示回数の低下はサイト流入数低下によりリマーケティングリスト数が低下したためだと考えてよさそうです。

次はBのキャンペーンです。下記はBのオーディエンス一覧です。実績をみると大きく増加したオーディエンスがいくつか存在しています。

緑で囲んでいるオーディエンスは表示回数が大きく増加していますがクリック率やコンバージョン率が増加しておらず、現在の広告クリエイティブやLP(サイトをクリックした後のページ)とマッチしていない可能性があるため見直しする必要がありそうです。

比較で見えた課題を基にアクションを起こす

AとBでは状況が異なるため分析後のアクションは異なります。

たとえばAはクリック率やコンバージョン率が向上したことにより成果が良化していますが、リマーケティングリスト数の低下によりコンバージョン数を伸ばしにくい状況が見えてきます。そのためAは訪問数を増やすために自然検索など広告以外の要因も踏まえた改善に取り組んでいきます。

Bはコンバージョン率やクリック率を改善することでさらにコンバージョン数を伸ばすことが出来そうなのでオーディエンスにマッチした広告クリエイティブやLPの修正をおこないます。

インターネットの広告は運用型広告といわれています。実際の数字を分析して改善することが基本的な考え方であり、状況を把握するために比較という手法を用いるのです。比較すると現在の状況が浮き彫りになってきます。広告運用を始めたばかりの方はまずは比較する癖をつけることをお勧めいたします。繰り返し比べてみることで課題が見えてくるようになってきますよ。

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Hiroshi Shimada

リクルートにて求人広告制作のディレクター、Googleにてアカウントマネージャーをそれぞれ経験。その後、健康コーポレーション(現RIZAP)にて、WEB施策のデータ分析を行う部署を統括。直近10年はWEBマーケティングに専念しているが、広告領域の業務で言えば22年の経験。オンライン・オフラインどちらの戦略立案・実施・分析においても、知識・経験が圧倒的に豊富なマーケター。