BtoBのユーザーはBtoCのユーザーと比べて検討する期間が長いという特徴があります。広告運用においてもユーザーの動向に合わせて運用方針を決める必要があり、成果を適切に評価するためコンバージョンポイントを複数設置しないといけないケースがあります。

【広告運用初心者が陥りがちな運用】

BtoB向け広告でコンバージョンのポイントを成約のみにして広告運用を実施した

成約のみをコンバージョン対象とすることの懸念点とは

BtoB向け広告においてコンバージョンのポイントを成約など一つだけに絞ることの懸念点について考えてみたいとおもいます。

ユーザーの検討時期の評価が含まれていない

BtoBの商材・サービスは一般的に数週間ほどの比較検討の時期が存在します。広告を閲覧した担当者のみで判断し成約するケースといったケースは少なく、部署の上長や他メンバーなどの複数の関係者の判断・承認をクリアして初めて成約へと至るとなるケースが多くなります。
成約に至るまでにクリアしないといけないステップが含まれている場合、成約のみをコンバージョン対象にしてしまうと成約に至るまでの検討段階の成果が全く評価されていないため適切に運用出来なくなる恐れがあります。

データが蓄積されにくく機械学習を促進させにくい

またBtoBの商材・サービスは特定分野に特化している反面、検索するユーザーが限られているという特徴があります。広告表示回数、クリック数、コンバージョン数などの実績データが蓄積されにくく、この状況下でコンバージョンを成約のみに絞ってしまうと機械学習を促進させにくい広告運用となってしまいます。

未成約ユーザーをフォローできない

成約だけをコンバージョンにしてしまうと何らかの理由で成約に至らないユーザーの動向を把握することが出来ず、広告運用者は適切な改善を実施することが出来なくなります。

コンバージョンに至らない例

  • 商材・サービスに興味はあるのだけれど料金が高く手が出せない
  • 興味はあるのだけれど細かなスペックがわからないため保留にしている
  • 稟議にかけているが承認がすぐにおりてこない
  • 他商材・サービスと比較検討したいので数週間は様子を見たい など

興味を持っているがすぐにコンバージョンに至らないユーザーを放置してしまう運用になってしまいます。

マイクロコンバージョンを含めて運用を実施する

BtoBではコンバージョンの前段階(マイクロコンバージョン)を抽出し、広告運用に取り入れることが重要となります。

マイクロコンバージョンとはコンバージョンに至る前に経由するポイントを指しています。マイクロコンバージョンはビジネスによって様々なものが考えられますが、代表的なものは下記指標が挙げられます。

マイクロコンバージョンの設定候補

  • メールや電話の問い合わせ件数
  • 該当する資料の請求数・カタログのダウンロード件数
  • サイト・サービスの会員登録数
  • フォーム到達件数
  • 該当ページのスクロール率
  • 該当サービスのページの閲覧数や会社概要の閲覧数 など

適切なマイクロコンバージョンを見つけることが最も重要である

BtoBの広告運用はBtoCと比べて難易度が高いといわれることが多いかと思います。その要因は様々あるかと思いますが、一つには適切なマイクロコンバージョンを見つけることが難しいことが挙げられるかと思います。成約といったわかりやすい指標と比べると検討期間中の動きはビジネスの内容・サイトによって様々であり注視すべきポイントはそれぞそれ異なります。

自社ビジネスを改めて見直していただき、適切なマイクロコンバージョンを見つけてください。

  • ユーザーはどのような行動をおこして成約にまで至るのか
  • 成約に至るまでどのくらいの時間がかかるのか
  • 成約に至るルートの中で指標化できるものは存在しているか
  • 指標はどのような設定を行えば抽出することが可能か(GTMなどのツールを用いて)

 

今回は以上となります。

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Hiroshi Shimada

リクルートにて求人広告制作のディレクター、Googleにてアカウントマネージャーをそれぞれ経験。その後、健康コーポレーション(現RIZAP)にて、WEB施策のデータ分析を行う部署を統括。直近10年はWEBマーケティングに専念しているが、広告領域の業務で言えば22年の経験。オンライン・オフラインどちらの戦略立案・実施・分析においても、知識・経験が圧倒的に豊富なマーケター。