広告運用は日々広告管理画面の実績を見ながら調整していきますが、一部のデータだけを見て調整を進めてしまうとかえって数字が悪化してしまうことがあります。今回は広告運用経験を始めたばかりの方が実施してしまいがちな運用例をピックアップ。なぜ誤りなのかを一緒に考えてみたいと思います。

誤った広告運用の事例

前日のキーワードのコンバージョン単価を見ると、前々日と比べて30%以上高騰していたためキーワードを停止して対処した。

広告運用を始めたばかりの方は行なうことが多いケースで直近の数字を基に改善を実施した例です。コンバージョン単価が高騰しているためキーワードを一次停止するというのは一見問題のない施策に思えますが、実施する前に確認しないといけないポイントが抜けてしまっています。

1日の実績は動向の一部しか表していない

広告運用を行っているとわかりますが、ある指標(今回で言えばコンバージョン単価)が同じ数字で推移することはほとんどありません。競合の出稿状況やキーワード自体のトレンド等の外的要因を受けて日々変化していきます。

また外的要因だけではなく自社サイトに変更が入った場合や新しい施策が稼働した場合にも変動する可能性があります。

下記のグラフはコンバージョン単価とコンバージョン率の推移の一例です。土日(濃い縦線の部分)になるとコンバージョン率が上がりコンバージョン単価が下降するという流れが見えており、検索ユーザーのニーズが平日と土日では別物であることがわかります。適切に判断するには一定期間のデータが必要であることがわかるかと思います。

広告運用者はこの上振れ・下振れするトレンドを把握して適切に改善を実施していく必要があります。

今回の事例のように1日だけの数字を見て改善を取り入れることは「木を見て森を見ていない」状態に陥る可能性があります。誤った改善の実施は数字を悪化させてしまう可能性があるのでご注意ください。

実績は点ではなく線で見る

実績の比較は点ではなく線(トレンド)で見るようにしていきましょう。商材によりトレンドの形は様々です。一般的には高額商材ほど検討時間が長くなりやすいため、コンバージョンに至るまでの時間が長くなる傾向にあります。逆に安価商材は比較検討の時間が短くなりやすいため、コンバージョンに至るまでの時間が短くなる傾向にあります。

目の前の数字が悪化しているのはトレンドによる一時的なものなのか、本当に悪化しているのかを見極めるのは広告運用者が身につけないといけない重要な視点です。日々広告アカウントを見ていれば少しずつ分かるようになってくるかと思いますので身につけていきましょう!

今回は以上となります。

 

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Hiroshi Shimada

リクルートにて求人広告制作のディレクター、Googleにてアカウントマネージャーをそれぞれ経験。その後、健康コーポレーション(現RIZAP)にて、WEB施策のデータ分析を行う部署を統括。直近10年はWEBマーケティングに専念しているが、広告領域の業務で言えば22年の経験。オンライン・オフラインどちらの戦略立案・実施・分析においても、知識・経験が圧倒的に豊富なマーケター。