リスティング広告のアカウント構成、広告グループの分け方はその時代時代によって色々なパターンが試されてきました。

業界経験の長い方なら、マッチタイプで広告グループ分けていたよ、なんて方もいると思います。

すごく細かく分けて管理されていた方もいるでしょう。1キーワード、1広告グループにしたよという方もいるのではないでしょうか。

それでは2022年、直近の媒体の仕様変更を踏まえてアカウント構成、広告グループをどう考えるかのが良いでしょうか?

本日はその点についてお話しします。

hagakureの登場で発生したちょっとした誤解

Googleのhagakureの推進及び、自動入札の導入が促進された中で、一部運用者の理解に誤解があったと思います。

それは、「なるべく束ねればいいんでしょ」という捉え方です。

広告グループをなるべく束ねる、必要以上に細かくしない。

これはこれで合っていると思うのですが、なんとなく「とにかく1グループにまとめればよい」という誤解があったかなと思っています。

hagakureの考え方は決して何でも束ねろといっているわけではなく、同じテーマ、同じ訴求なら不必要に分けないということです。逆にいうと、テーマや訴求が異なるなら、広告グループは分けたほうが良いということになります。

ただ、そこに自動入札が入ってくると、一定のボリューム感(コンバージョンボリューム)がないとうまく動かないという背景はあったので、なるべくボリューム感がでるように、コンバージョンデータが集約されるように、ということでまるっとまとめることが良いというような流れが出来上がった気がします。

アカウント構成、広告グループの分け方を考え直す2つのきっかけ

さて、そんな中、なぜここにきて再度構成見直そうという話なのかというと、2つのきっかけがあります。

レスポンシブ検索広告の登場

一つはレスポンシブ検索広告の登場です。

レスポンシブ検索広告は言わずがな、複数のタイトル、複数の説明文を入れて最適な組み合わせパターンで出る広告で、現在のリスティング広告の中で主軸のフォーマットになっています。

これまで主軸であった拡張テキスト広告は、2022年6月いっぱいで編集、新規作成ができなくなることが決まっています。

なぜ、このフォーマットによって構成見直そうと思ったかというと、レスポンシブ検索広告は確かに複数のタイトル、説明文を入れて検索語句によって適切なパターンで掲載されます。

そして、レスポンシブ検索広告はなるべくキーワードをタイトルに盛り込むことで有効性が改善されます。これはこちらの記事でもご説明しているとおりです。

Googleレスポンシブ検索広告:広告の有効性の改善方法とその効果とは?

しかしながら、意味もなくまるっとまとめた広告グループだと、どうしてもタイトルに入れるのが不自然パターンが出てきます。

本来訴求が違うものがタイトルに複数反映されることで、なんだか違和感のある広告になってしまいます。

これが広告グループの分け方、構成を変えたほうが良いのかなと思ったきっかけの一つです。

部分一致の仕様の変化

もう一つは部分一致の仕様の変更です。

Googleの部分一致は仕様変更により、以下を新たなシグナルとして見て、「ユーザーの意図」を解釈し、オークションに参加するようになったと言っています。

  • ランディングページの内容
  • 広告グループに含まれるキーワード

この「広告グループに含まれるキーワード」という部分。広告グループに含まれる他のキーワードの内容を見ているなら、やはりできるだけ同じテーマのキーワードで構成しておいたほうが、ユーザーの検索の意図と検索結果(広告の内容)のズレが少なくなるのだろうと考えました。

これがもう一つのきっかけです。

広告グループを一つの特集、テーマと捉える

では、結論どういうふうに考えたら良いのか。

これは、広告グループを一つの特集、テーマと捉えると良いでしょう。

リンク先が違う、訴求が違うなら、やはり広告グループは分けるべきです。

ただし、分けるに足るボリュームなのか、という点は考慮が必要です。ボリュームが少ない(検索ニーズが少ない)のは分けたところで、成果としても見合わない(そもそも配信量が出ない)可能性があります。

もう一度原点に返る

ただ、これは決して新しい試みということではありません。

広告グループはそもそも昔から一つのテーマで構成するものなんです。

以下のGoogle広告ヘルプを見てください。テーマごとに作るって書いてますよね?これ、昔からほとんど内容変わってないはずです。

広告グループとは

時代が機械学習の方向に向かい、なんとなく束ねることが良いという少し湾曲した捉え方があって、テーマで構成するという基本的な考え方が薄れちゃっただけだと思っています。

「機械学習の観点から束ねたほうがいいんです」「広告グループは一つにまとめましょう」

これは決して間違いというわけではないですが、ちょっと立ち止まって本当にまとめるべきか考えてみましょう。

アカウント構成、広告グループをどう分けるかに正解はありません。昔からみなさん、トライ&エラーを繰り返して良いアカウント構成を考えていると思います。

いろいろ言っていますが、まとめたほうが成果が良くなったケースも事実としてあるでしょう。それも分かります。

ただ、もう一度「広告グループとは何なのか」という原点に返って、アカウント構成を見直してみても良い時期が来ていると思い、本日はお話しさせていただきました。

ではまた。

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Junichi Nakamura

前職は大手ネット広告代理店のインターネットプロモーション部門の部長。マネジメント兼プランナー/ディレクターとして、SEM、ディスプレイ領域中心に、業界問わず大手クライアントのプロモーション支援を行う。現場に拘り、コツコツと改善施策を積み上げながら、着実に改善に繋げていく職人。