Google広告やYahoo広告の自動化機能が進化するに伴い、「業務委託を使わずとも社内だけで広告運用ができる時代が来たのかもしれない!」と広告運用のインハウス化を推し進める広告主も増えてきています。実際、数年前と比較して、弊社でも広告運用のインハウス化に関連するご相談がずいぶん寄せられるようになってきました。そこで今回は「大手広告代理店出身者1名を採用すれば、広告運用のインハウスかは成功しますか?」という問いに対して手短に回答していきます。

大抵の場合はそのような1名を採用しても広告運用のインハウス化は成功しない

大手広告代理店で勤務している社員の方と聞くと、なんだか「マーケティングのことなら何でも知っているし、何でもできそう!」という気がしてしまいますよね。Google広告・Yahoo広告等の主要広告媒体のプランニングから入稿・運用まで全部できるし、成果計測基盤の設計・構築・運用もできるし、データ計測・改善戦略立案・テストプラン設計・構築・実施もできる。そんな凄い人を想像してしまいがちです。実際、これから広告運用のインハウス化を行おうとしている企業で採用したいのは、そのような凄い人でしょう。しかしながら、大手広告代理店と言えどもそのような「何でもできる人」はほとんどいないというのが現実です。

大手広告代理店では分業制が整えられていることが少なくない

大手広告代理店と言えども「何でもできる人」が多くない理由としては、大手広告代理店だからこそ「提供している支援サービスの品質にこだわっているから」と言えます。歴史あるしっかりとした大手広告代理店だからこそ「属人的なサービスレベルのバラツキ」の排除に努め、「一定水準のサービスレベルを保つ」ように分業制となっていることが多いです。広告媒体ごとに担当が分かれていたり、広告メニューの種別ごとに担当が分かれていたり、戦略立案・戦術実施・予算管理等の業務ごとに担当が分かれていたり。大手広告代理店各社で分け方は異なるかと思いますが、分業制にすることで各人の専門性を高めてサービスレベルを保つということをやっているイメージです。

大手広告代理店出身かどうかだけで採用するのはお勧めしない

広告運用のインハウス化を進め始めるところと言うのであれば当然「幅広い業務の知識・経験がある」人を採用したいはずですが、分業制を行っていることが多い大手広告代理店の出身者の方々は「特定業務のプロ」であり、「幅広い業務の知識・経験があるわけではない」ことが少なくありません。その為、「大手広告代理店出身者1名を採用すれば、広告運用のインハウスかは成功しますか?」という問いに対しては「大抵は成功しません。」というのが回答になります。しかし、大手広告代理店出身かどうかは関係なく、採用の面接で「幅広い実務経験」と「高いディレクション能力」があると明らかに分かる候補者の方がいらっしゃるようであれば、その方は広告運用のインハウス化を行っていくにあたり即戦力になる可能性があります。どんなスキルを持った人を採用すべきなのか明確にして、企業と候補者の方とのミスマッチを予防していきたいですね。

今回は以上です。大手広告代理店出身と聞くと「何でもできるオールラウンダー!」と勝手に想像しがちですが、実際は大手広告代理店だからこそ「分業制を徹底して広告運用代理サービスの品質の維持している」ものであり、そこで働く社員の方々は「特定業務のプロである=幅広い業務のプロではない」ということが多いのではないかと思います。特に、大手広告代理店での業務歴が数年(3年未満等)しかないのであれば、尚更その可能性が高まるのではないでしょうか。とは言え、特定業務のプロを探している場合であれば大手広告代理店出身者の方が適任となる可能性が逆に高まるとも考えられますので、自社の状況を踏まえて適切な人材を採用していきましょう!

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Akira Kodaka

2005年、SEO・サイト制作で起業。法人向けSEOを請け負いつつ、アフィリエイターとしても活動(当時国内上位1%の報酬獲得実績達成)。また、同時期に美容室を買収し、黒字化させてバイアウト。その後、2010年から8年間、Googleで広告運用スペシャリストとして活躍。新規クライアント専門ビジネス支援部門リード、広告代理店営業マネージャー、通信テクノロジー業界シニアアカウントマネージャーを経験。2018年、株式会社援軍設立。