GA4の「探索」でサイトに訪れたきっかけを調べる場合や、コンバージョンに至ったトラフィックの発生元を分析する際、「参照元」または「参照元 / メディア」というディメンション(データの集計項目)を選択します。

UAではこれは1種類しかなかったのですが、GA4の探索レポートでこれを選ぼうとすると3種類でてきます。一体どれを選べばよいのか、それぞれの内容も踏まえてご説明いたします。

GA4の3種類の参照元

まずGA4では、ユーザーの獲得に関する情報がユーザー、セッション、イベントのグループに分類されます。これをスコープといいます。そして、それぞれの分類(スコープ)ごとに参照元が存在します。

GA4で選べる参照元は以下の3つです。

  • ユーザーの最初の参照元(ユーザースコープ)
  • セッションの参照元(セッションスコープ)
  • 参照元(イベントスコープ)

それぞれどういったものになるか見ていきましょう。

ユーザーの最初の参照元

ユーザーの最初の参照元

ユーザーが最初にサイトを訪れたときの参照元の情報です。これはそのユーザーが複数回サイトを訪問したとしても、変更はありません。その名のとおり、「ユーザーの最初の」参照元になります。ユーザーの獲得に繋がった参照元は何なのかを分析する時に使います。

セッションの参照元

セッションの参照元

これはUAから馴染みの深いセッション単位の参照元を分析する時に使う参照元です。ユーザーとの違いは、セッションごとに参照元が紐づくという点です。

ちなみにUAとGA4ではセッションの定義が異なりますが、詳細は以下の記事で説明しておりますので、よろしければご参照ください。

GA4とUAのセッションの違いとは?コンバージョン数にも大きな違いあり。

参照元

参照元

最後に頭に何もつかない、ただの「参照元」というのが存在します。

一見これがUAの時の参照元と同じかな?と思うかもしれませんが、中身は全然違います。これはコンバージョンイベントに紐づく参照元になります。

主に設定しているアトリビューションモデルに基づいて間接効果を見る際に使用します。

アトリビューションモデルとは?

GA4では、サイトに到達するまでにユーザーがたどった経路上の広告、クリック、その他の接点に貢献度を割り当てます。これをアトリビューションモデルと言っていて、GA4では2つから選択できます。

  • ラストクリック
  • データドリブンアトリビューション(DDA)

ラストクリックはユーザーがコンバージョンに至った最後のトラフィックソースに貢献度が100%割り当てられます。

データドリブンアトリビューションの場合は、間接的な効果を踏まえて、コンバージョンに至るまでの各トラフィックソースに貢献度を自動的に分配します。

GA4の「設定」から「プロパティ」>「アトリビューション設定」で変更できるようになっていて、デフォルトはデータドリブンアトリビューションになっています。

GA4アトリビューション設定

ユーザースコープ、セッションスコープはラストクリック

では、頭に何もつかない「参照元」が何で間接効果を見る際に使用するものなのかというと、アトリビューションモデルをデータドリブンにしていたとしても、ユーザースコープ、セッションスコープはラストクリックが適用されているのに対し、イベントスコープのみがデータドリブンアトリビューションが使用されているためです。意外とこの辺りは知らない方も多い気がします。

アナリティクスヘルプより引用

ユーザー スコープとセッション スコープのディメンションの場合、アナリティクスでは、有料チャネルとオーガニック チャネルのラストクリック アトリビューション モデルが使用されます。ユーザー スコープとセッション スコープのディメンションは、アトリビューション モデルの変更による影響を受けません。

イベント スコープのディメンションの場合、アナリティクスでは目的に合ったアトリビューションを選択できます。デフォルトでは、データドリブン アトリビューション モデルが使用されます。選択したアトリビューション モデルは、イベント スコープのトラフィック ディメンションを含むすべてのレポートに反映されます。

結局、どれを選択すれば良いのか?

基本的にはユーザーの獲得という観点で分析・評価するなら「ユーザーの最初の参照元」、セッション単位で分析・評価するなら「セッションの参照元」になります。

UAから使っている方がほとんどだと思いますので、馴染みが深く、違和感ないのはやはりセッションではないかと思います。

ただ、ユーザーで見ても間違っているというわけではないです。何を評価するかによって異なるだけです。

ただし、ユーザー単位で見た場合、UAの時の数値とは大きく異なりますので、KPIや評価の仕方を考え直す必要はあります。(セッションで見た場合も過去とは数値は結構違いますが・・・)

では、頭に何もつかない「参照元」は?というとあまり出番ないかなという印象です。理由は以下です。

  • 探索画面だとかけあわせできる指標が限られている
  • BigQueryだと取得不可

①は使ってみると分かりますが、掛け合わせで選択したディメンションによっては数値が出てこない、もしくはそもそも選択できないということが起きるのと、②はBigQueryを使ってデータ取得している場合は論外ということになります。

よって、探索レポートで実績を分析、評価するためのレポートとしてはあまり出番がないかなと思います。

なお、これだけが探索のディメンションの中で「トラフィックソース」ではなく、「アトリビューション」に分類されています。トラフィックソースとしての分析に使うものではないよということでしょうかね。

イベントスコープに基づくデータを見る場合は、GA4のアトリビューションの中にあるモデル比較(ラストクリックとデータドリブンで同数値が変化するかも見るレポート)、コンバージョン経路(コンバージョンに至るまでの経路分析)でも確認できます。

アトリビューション

いかがでしたでしょうか?

GA4になって分かりにくい、どう評価すべきか悩まれている方も多いと思いますが、今回の記事がお役に立つと幸いです。

ではまた。

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Junichi Nakamura

前職は大手ネット広告代理店のインターネットプロモーション部門の部長。マネジメント兼プランナー/ディレクターとして、SEM、ディスプレイ領域中心に、業界問わず大手クライアントのプロモーション支援を行う。現場に拘り、コツコツと改善施策を積み上げながら、着実に改善に繋げていく職人。