広告文のABテストは、リスティング広告を効果改善するための
重要な運用要素のひとつです。

広告運用に携わっている多くの方が重要であるという認識はあるものの、
ABテストを繰り返していくうちに、ある程度パターンが固定化されてきて、
新しい切り口のアイデアが出てこないというのはありませんか?

今回はリスティング広告を始める方をメインに、
基本的な広告文の考え方を整理してみましたので参考にしていただけると幸いです。

リスティング広告の広告文の記事として執筆していますが、
考え方自体はディスプレイ広告のテキスト広告はもちろん、
バナー広告の訴求のヒントにも使えると思います。

広告文が影響を与える指標について

広告文はリスティングのどの指標に直接影響するかというのを
念頭に置く必要があります。

(この記事を読んでくださっている多くの方は即答できると思いますが)
クリック率(CTR)、コンバージョン率(CVR)ですよね。

※広告スコア向上によるIMPシェアやCPC改善にも影響しますが今回はそこは置いておきます。

クリック率についてはわかりやすいと思いますが、広告文はユーザーが直接見るものですので、
ユーザーの興味を引くものであったり、ユーザーが抱えている課題を解決できるか、
お得さを感じられるか、信頼がおけるかなど様々な要素で変化します。

コンバージョン率については、Web広告運用に携わっていない方だと
もしかしたらピンとこないこともあるかもしれません。

少し詳しく解説します。

ユーザーの検索行動の流れを簡単に整理する

①GoogleやYahooにて検索をする

②検索結果を見て、どのサイトを見るかを検討する

③見てみたいと思ったサイトをクリックする

④商品やサービスの詳細を確認して、購入や問い合わせをするかを検討する
(情報収集のみの場合もある)

⑤購入や問い合わせを行う。

クリック率については、②と③の箇所に関わっています。
コンバージョン率は④の箇所に関わっているのですが、
検索行動の流れを加味すると②③から④に至ります。

②③で見てみたいと思ったサイトに入ってきているので、
広告文で抱いた期待感と実際のサービス内容が異なっていれば、
コンバージョン(購入や問い合わせ)をせずに離脱してしまいます。

例えば、次の土日に利用できる格安の美容室を探している男性ユーザーが
広告文で「業界最安値!」や「初回100円」と記載されている広告文を見て
価格帯に興味を持ってサイトに訪れたとします。

ところがサイト内に記載のある金額がとても業界最安値ではない価格であったり、
初回100円というのは、平日だけであったり、女性のみという条件があると、
さすがに予約には至りませんよね?

極端な例ではあるのですが、これは広告文を見て抱いたユーザーの期待感と
実際のサービス内容に大きな乖離が発生したケースといえます。

必要以上によく見せようとすると費用対効果は悪化する

クリック率を向上させるために、
サービスを良く見せるという考え方は大事ですが、
実際のサービスと異なる事を訴求してしまうと、
クリックされても結局サイトから離脱してしまうことになります。

リスティング広告はクリック課金の広告ですので、
クリックしてサイトから離脱してしまうと、
無駄なクリックだけが発生し、成果が出ずにお金だけかかるということになります。

提供しているサービスに興味を持たないであろうユーザーには、
クリックしてもらわないほうが良いという割り切りも必要なことがあります。

広告文と提供サービスのミスマッチを無くそう

広告文とサービス内容のミスマッチをなくすためには、
広告文を独立して考えるのではなく、
広告のリンク先として設定するページ(LP)の内容から
広告文を考えることが失敗しにくいやり方の一つです。

どうしても訴求したい内容が、LPに記載されていない場合、
広告文のためにLPを改修するということも必要です。

 

広告文のABテストで判断に迷ったら

また、広告文の良し悪しを判断する際に、
クリック率(CTR)、コンバージョン率(CVR)を
それぞれ単独で見ると、判断が難しいケースがあります。

広告文Aのほうはクリック率が良いけど、
広告文Bのほうがコンバージョン率が高いのようなケースですね。

その場合はCTVR(非公式の指標?)で見ると良いかもしれません。
CTVRはクリック率×コンバージョン率で算出する指標です。

慣れない言葉ではありますが、
CTVRが高いほうが同じ表示回数だった際により多くコンバージョンが取れるという
理解をしておけば問題ないかと思います。

広告文A クリック率10% コンバージョン率5%
広告文B クリック率 5% コンバージョン率15%

の場合のCTVRは

広告文A CTVR 0.0050
広告文B CTVR 0.0075

となり、広告文Bのほうがより多くのコンバージョンが期待できる広告文であるということです。

CTVRで判断する際の注意点としては、
クリック単価の要素が加味されていない点です。

CTVRが良い広告文のほうが獲得単価(CPA)も良いとは限らないということです。
広告文AもBもほぼ変わらないクリック単価であれば、
CTVRで良し悪しが比較的簡単に判断ができるのですが、
クリック単価に差異がある場合は、獲得単価も加味しつつ、
どちらの広告文を良いとするかは運用者の判断になるかと思います。

判断軸は、そのCPAが許容できるCPAか、
アカウント内におけるそのキーワードの役割であったり、
検証を行うに至った仮説や現在の課題感によって変わってくると思います。

 

最後に

いかがでしたでしょうか?

広告運用の経験がある方には参考になることが少なかったかと思いますが、
初心者の方や始めたばかりの方にとっては、
参考になることもあったのではないでしょうか。

広告文のABテストをする際のヒントにしていただけると幸いです。
それでは。

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Hirofumi Nishi

大手インターネット広告代理店のセプテーニにてSEM及びディスプレイ領域のコンサルタントとして約3年間従事したのち、外資系の共同購入型クーポンサイト運営会社に4年間在籍。インハウスの広告運用担当として急速な事業成長に貢献。その後、カカクコムのマーケティング本部プロモーションチームの初期メンバーとして入社。主に金融領域・通信領域の広告効果最大化に4年程度注力したのち、スキルの幅を広げるためにWebディレクターとしてサイト改善の施策立案・ディレクションを担当。2022年、株式会社援軍に参画。