昨今、自動入札が当たり前になっており、各媒体自動入札の使用を推奨しています。
Google広告もYahoo!広告も自動入札の使用がだいぶ浸透してきたと思います。
ところで、それぞれの自動入札で最適化に使っているシグナルって、どんな違いがあるのでしょうか?

本日はGoogle広告とYahoo!広告(ディスプレイ広告(運用型)、以下YDA)の自動入札のシグナル違い、そしてその違いからどのように運用に活かせるかをお話しします。
なお、Google広告とYahoo!の検索広告は仕組みが一緒なので割愛します。

シグナルの違い

各媒体のヘルプページで自動入札でどういったシグナルを使っているか記載がありますので、それを一覧にしてみました。

Google広告
YDA(ディスプレイ広告(運用型))
デバイス デバイス
所在地 所在地
地域に関する意図 地域への関心
曜日と時間帯 曜日・時間帯
リマーケティング リスト ターゲットリスト
広告の特性 広告の特性
表示言語  
ブラウザ ブラウザー
OS OS
実際の検索語句(検索キャンペーンとショッピング キャンペーン) 実際に検索されたキーワード
検索ネットワーク パートナー(検索キャンペーンのみ)  
ウェブサイトのプレースメント(ディスプレイ キャンペーンのみ)  
サイトでの行動(ディスプレイ キャンペーンのみ)  
商品属性(ショッピング キャンペーンのみ)  
モバイルアプリの評価(今後対応予定)  
価格競争力(ショッピング キャンペーンのみ)  
季節性(ショッピング キャンペーンのみ)  

細かいシグナルの説明は省きますが、「広告の特性」だけ文字からは良く分からないと思うので、Google広告ヘルプから抜粋しておきます。

説明: モバイルアプリ用かどうかも含め、表示される広告のパターンに基づいて入札単価が最適化されます。

例: ある通信事業者の場合、「最新の特別価格キャンペーン」や「柔軟なプラン」を宣伝する広告、またはモバイルサイトやモバイルアプリをリンク先とする広告が表示される際には、各パターンのコンバージョンに至る可能性の高さに応じて入札単価の調整が行われます。ディスプレイ キャンペーンの場合は、コンバージョンに至る可能性が高い広告のサイズとフォーマットを考慮して入札単価が調整されます。

その他、シグナルの詳細が気になる方は以下ヘルプページをご参照ください。

Google広告ヘルプ

https://support.google.com/google-ads/answer/7065882#zippy=%2C%E8%87%AA%E5%8B%95%E5%85%A5%E6%9C%AD%E3%81%A7%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%82%B7%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%AB

Yahoo!広告ヘルプ

https://ads-help.yahoo.co.jp/yahooads/ss/articledetail?lan=ja&aid=2693#c03

こうして並べてみると、共通しているシグナルもありますが、以外と差があるものだとわかりました。現時点では、Google広告のほうがシグナルとして使っている項目が多いことに気づきます。

注目したいシグナル

さて、これを知ったところでどうなるの?という話ですが、注目したいシグナルがあります。
それは、Google広告の「サイトでの行動(ディスプレイ キャンペーンのみ)」です。

再度、Google広告のヘルプを引用すると以下の内容です。

説明: 閲覧したページ数や閲覧した商品の金額、コンバージョン プロセスにおける現在地、過去にアクセスした他のサイトなど、ユーザーのサイトでの行動に基づいて入札単価が最適化されます。

例: ある家具ブランドの場合、低価格帯の照明器具と比較して高額なソファをユーザーがいくつか閲覧していれば、入札単価の調整が行われます。

YDAではこのシグナルはないので、すなわち「YDAは自動入札でサイト内の行動は加味していない」ということですね。

Google広告のシグナルがサイト内の行動をどこまで見ているのか不明ですが、すくなくとも、YDAではシグナルとして見ていない。

そうなると、サイト深度の情報も加味されていないということになります。

サイト深度とは、サイトをどこまで深い階層まで見たのか、ということです。TOPページで離脱したユーザーなのか、申し込みフォームまで到達したのか。

リターゲティング広告の実施を前提としていますが、サイト深度が深いところまで行ったユーザーのほうがCVRが高い傾向が多いことは運用経験のある方であれば認識済みかと思います。

昨今の傾向としてはなるべく広告グループ(ターゲットリスト)はまとめたほうが良いとされています。これは自動入札を使う上で、なるべくコンバージョンデータが多い方が学習が促進されるためです。そのため、極力広告グループを一つにまとめている方も多いと思います。

ですが、YDAではサイト深度は見ていないとなると、少し構成を考慮しても良いかもしれません。
サイト深度が深いほどCVRが高い、そういった確度の高いユーザーには強く入札したいとなった場合、広告グループ(ユーザーリスト)を分けて、それぞれ強化できる構成を検討しても良いでしょう。

では、Googleはサイト深度まで見ているの?と聞かれるとヘルプにはそこまでは載っていないので断言できないのですが、「サイトでの行動」と書いているので、「見ていそう」ぐらいです。曖昧な回答ですいません。

動的リマーケティング(ダイナミックリマーケティング)であれば、サイトの深度(階層)に応じたタグが予め用意されているので、そこは確実に見ているはずですが。

これは現時点(2021年8月)での情報ですので、今後変わる可能性が高いです。
自動入札の機能もどんどん進化しているため、そのうちサイト深度の情報も加味されるかもしれません。

普段自動入札にどんなシグナルが使われているかあまり気にしたことない方も多いと思います。
そして必須で知っておくべきことかというと、そこまでではありません・・・
ただ、普段何気なく使っている自動入札がどんなシグナルを使って最適化しているかを知っておくのもなかなか面白いのではないか思い、ご紹介させていただきました。

ではまた。

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Junichi Nakamura

前職は大手ネット広告代理店のインターネットプロモーション部門の部長。マネジメント兼プランナー/ディレクターとして、SEM、ディスプレイ領域中心に、業界問わず大手クライアントのプロモーション支援を行う。現場に拘り、コツコツと改善施策を積み上げながら、着実に改善に繋げていく職人。