Meta広告でも主流な配信方法となりつつあるASC(Advantage+セールスキャンペーン)ですが、従来よりも精度の高い機械学習モデルを取り入れたことで成果を高めやすくなっている反面、ターゲットが自動で拡張されてしまうため通常のキャンペーンに比べて配信ユーザー層のコントロールが難しい印象です。

例えばターゲットとなる年齢層や性別が限られている商材については、本来配信したいユーザー層以外にも配信が出てしまうため、実際の売上に繋がりにくいリードを集めてしまうなど、費用対効果が合わないケースがあったりします。

その点で悩まれている方も多いかと思いますが、直近のアップデートで「値のルール」という機能を活用できるアカウントが増えてきたので、今回はそちらをご紹介します。

ASCの「値のルール」について

Metaのビジネスヘルプセンターでも情報が公開されているので、そちらの内容を引用します。

値のルールは、キャンペーンの目的が売上またはアプリの宣伝である場合に、さまざまなオーディエンスに応じて価値を設定し、キャンペーンを一元管理してパフォーマンスを高めることのできる機能です。

値のルールを使用すると、広告主が特に重点を置くオーディエンスと成果に向けてキャンペーンの配信が調整されます。

注意点として「値のルール」はキャンペーンの目的が「売上」または「アプリの宣伝」の場合でしか現状使用できないということを念頭に入れておきましょう。

値のルールを使ってできることは下記の通り。

  • ルールを作成して、ビジネスにとって特定のオーディエンスに一層の価値があることをMetaのシステムに伝える。設定されたルールに基づき、システムが成果に最適化します。
  • 最も重要なオーディエンスに焦点を当ててパフォーマンスを最大化する。
  • 顧客生涯価値の高いセグメントへの入札を優先することで、顧客生涯価値など下位ファネルの目標達成を促進する。

具体的には「年齢」「性別」「配信エリア」「デバイス」別に入札価格の重み付けをすることで、より商材のターゲットに適切なユーザー層に広告を配信できるようになります。

「値のルール」の設定方法

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コンバージョンイベントの設定項目の中に「値のルール」が表示されていれば設定が可能です。

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最初の設定の際はこのようなポップアップが表示されます。

値のルールを使用することで必ずしもCPAを低減できる訳では無いということを念押しされますが、チェックを入れて進みましょう。

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その後はルールの設定画面が表示されるので、商材に応じて適切なルールを入力していきます。

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例えば「45歳以上」の年齢層にあまり広告を出したくないケースでは、このような形で入札価格を抑えることで配信を抑制できるかと思います。

入札価格の減額は最大で90%まで設定可能で、100%の設定はできません。

入札価格の増額・減額は1%から設定ができますが、インパクトを高めるために20%以上から設定するように管理画面にもアラートが表示されます。

複数のルールの仕組みについて

ルールは最大で10件設定可能ですが、複数のルールの条件を満たすユーザーがいる場合、リスト内の最上位のルールのみが適用されるとのこと。

【例】

  • ルール1: 東京都在住の女性の入札価格を20%上げる
  • ルール2:iOSオペレーティングシステムを使用している女性の入札価格を10%上げる

この場合、ルール1の順位が最上位であるため、iOSを使用している東京都在住の女性に対する入札価格が20%高く設定されます。

複数のルールを設定する場合は上位の入札価格のルールが適用されることを念頭に入れておくのが良さそうです。

まとめ

値のルールの利用条件として、コンバージョンの発生場所がウェブサイト・アプリ上であること、また住宅・雇用・医療関連の広告では利用できない可能性があるため、まだ一定制限はある印象です。

ASCの特性としては基本的にターゲティングを制御し過ぎず、機械学習に任せた方が成果を最大化できるかと思います。

ただし冒頭にも述べたように、商材によっては年齢・性別・エリアなどであらかじめルールを決めて入札をコントロールすることで、早目に学習を軌道に乗せたいケースもあるはずです。

値のルールが設定できる広告アカウントはまだ限られていますが、徐々に増え始めてきてはいるので、ぜひ1度管理画面を確認してみてください。



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