Google広告のP-MAXを複数走らせていると、「どれが成果を出しているのか分かりにくい」「なんとなく効率が悪い気がする」と感じる方も多いのではないでしょうか?

今回、8つあったP-MAXキャンペーンのうち成果の低い5つを停止し、3キャンペーンのみを稼働させた結果、CPAが約35%改善するという結果が得られました。

よく「P-MAX同士のカニバリが原因では?」と考えがちですが、実際には少し違います。この記事では、なぜキャンペーンを減らすだけで成果が向上したのかを解説いたします!

背景:P-MAXはキャンペーンごとに“学習”が独立している

P-MAXはAIによって配信を最適化する仕組みですが、学習はキャンペーン単位で独立して行われます。つまり、同一アカウント内であっても、複数のP-MAXを同時に運用すれば、

  • コンバージョンデータ
  • クリック履歴
  • オーディエンスシグナル

などの学習リソースが分散してしまう構造になります。CVが十分に取れていないキャンペーンが多いと、各キャンペーンが「学習不十分な状態」で運用されることになり、結果的にアカウント全体の最適化速度が鈍化します。

誤解されがちな「P-MAXのカニバリ」について

Googleの公式仕様としては、同一アカウント内のP-MAXキャンペーン同士は理論上、オークションで直接競合しない設計になっています。

(※より上位のシステムが重複配信を抑えるように制御しているためです)

しかし、実際の運用では下記のような条件下で実質的な競合的挙動が発生します。

 

状況結果
類似のオーディエンスシグナルを複数キャンペーンに設定同じユーザー層を別キャンペーンが追いかける
同一LP・同一商品で訴求を分けて配信学習が分散し最適化が進みにくい
低CVボリュームキャンペーンを乱立アルゴリズムが十分な学習データを得られない

つまり「カニバリ」というよりも、学習の分散が成果悪化の根本原因になっていたわけです。

今回の改善ポイント:学習と予算の“集中化”

 1. データが3キャンペーンに集中し、学習効率が向上

停止した5キャンペーン分のクリック・CVデータが、稼働中の3キャンペーンに集約。

結果として各キャンペーンの学習が加速し、コンバージョン発生確率の高い配信先やクリエイティブをより正確に判断できるようになったと考えられます。

 2. 成果の高い構成に予算を集中

以前は8キャンペーンに予算が分散しており、各キャンペーンの1日あたりの学習量が不足していました。

停止後は、成果の良い3つに予算を集中させたことで、安定的にCVを積み上げる好循環が生まれたと考えられます。

3. 学習リセットを防ぎ、最適化を維持

新キャンペーン追加やテストを繰り返すと、そのたびに学習がリセットされます。

停止によって安定運用が可能になり、アルゴリズムが過去の学習を引き継いで精度を上げ続けられたこともCPA改善に貢献したと思われます。

4. 運用・分析の負荷が減り、改善サイクルが早まった

キャンペーン数を減らしたことで分析対象が整理され、「どの訴求が成果を出しているか」を即判断できるように。

結果としてPDCAサイクルが高速化し、運用判断の質とスピードが上がりました。

 

結果:CPAが約-35%改善

この一連の見直しにより、キャンペーン全体のCPAは変更前と比較して-35%改善!

クリック単価も安定し、CV数も増加傾向を維持しています。

特に「3キャンペーンに集中させた後の2週間」で学習効果が顕著に現れ、配信効率の向上とCPA低下が同時に進行しました。

 

まとめ:P-MAXは“数よりも集中”が成果を決める

今回のケースで得られた教訓は明確です。

🔹 同一アカウント内でのカニバリは理論上起きにくい

🔹 しかし、似た構成を複数走らせると「学習分散」により効率が落ちる

🔹 成果の高いキャンペーンに集中させることで、CPA改善が見込める

P-MAXはAI最適化の“学習量”が成果を左右するキャンペーンのため、データの集中と学習の安定化こそが最大のパフォーマンス改善策です。

もし今、複数のP-MAXを走らせていて成果が伸び悩んでいるなら、「新しいキャンペーンを増やす」よりも、まず減らしてみる勇気が必要かもしれません!



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