カスタマージャーニーって、BtoBのビジネスにおいてはもう欠かせない戦略のひとつになっていますよね。顧客がどんなふうに情報に触れて、どうやって購入に至るのか——その流れをちゃんと理解しておくことって、やっぱり成果に直結してくるんです。
とはいえ、「実際にどの企業がどう活用してるの?」「うちでも応用できるのかな?」って疑問を持ってる方も多いと思います。そんな方のために、今回は実際にカスタマージャーニーマップを活用して成果を出した3社の事例をご紹介します。
登場するのは、人材業界・IT企業・SaaS企業の3社。それぞれ業種は違いますが、共通して“ジャーニーをどう活かすか”という視点ではとても参考になるんですよ。
この記事を読めば、「自社ではこう取り入れられそう」とか、「このやり方、うちにも合いそう」っていうヒントがきっと見つかるはず。ぜひ、最後までチェックしてみてくださいね。
実践事例①カスタマージャーニーが営業・マーケの分断を解消したIT企業の成功例
ある中堅ITソリューション企業では、営業部門とマーケティング部門の連携不足が課題となっていました。マーケティングが獲得したリードが営業にうまく引き継がれず、商談化率が思うように伸びないという状態が続いていたのです。
そこで同社は、部門横断プロジェクトとしてカスタマージャーニーマップを導入。以下のプロセスで改善を図りました。
ペルソナ設計:IT導入責任者(部長クラス)と経営層(意思決定者)という二重構造でターゲットを明確化
購買行動と感情の可視化:展示会での初接点から契約承認までに感じる「比較疲れ」「不安」「期待」といった感情をフローで整理
施策連携:Webで獲得した見込み顧客を、営業がQ&A付き提案書で迅速フォローする「2営業日ルール」を制定
KPI連動の改善:MAツールとCRMを連携させ、資料DLから契約までのコンバージョンをトラッキング
結果として、以下のような改善が見られました。
- 商談化率が約1.5倍に向上
- 部門間の連携ミスが激減
- 顧客満足度(NPSスコア)が前期比で20%以上改善
この事例のように、カスタマージャーニーマップは単なる顧客理解ツールではなく、営業組織全体の変革を促す起点になり得ます。特に、プロセスの「見える化」を通じて部門間の認識ギャップを埋めることが、大きな成果へとつながるのです。
実践事例②人材業界におけるカスタマージャーニーマップの活用で成約率が2倍に
ある大手人材紹介会社では、法人営業とマーケティング部門の連携にズレがあり、「問い合わせは多いが受注に繋がらない」という課題を抱えていました。特にBtoB向け中途採用支援では、担当者によってニーズが異なるため、画一的なアプローチが機能していなかったのです。
そこで同社は、カスタマージャーニーマップの導入を通じて顧客接点を再設計。以下の施策を実施しました。
ペルソナの明確化:採用責任者(人事部長)と現場責任者(部署マネージャー)という異なるニーズを持つ二者に焦点を当て、それぞれの意思決定プロセスを分離
感情フェーズの可視化:「人材が集まらない焦り」「他社と比較される不安」「採用成功への期待」など、検討プロセスでの感情変化を可視化
タッチポイントの最適化:従来のメール案内に加え、オンライン面談→事例動画→カスタム資料送付という一連のシナリオを構築
施策ごとのKPI設定:Webセミナー参加率・案件化率・初回面談後の成約率など、ファネルごとに具体的な数値指標を設定
導入後、同社では以下の成果が得られました。
- 初回面談からの成約率が2倍に向上
- 提案資料のダウンロード率が従来比180%に増加
- 営業プロセスの一貫性により、顧客の満足度スコアも15%改善
このように、感情・接点・行動を一貫して設計したカスタマージャーニーマップの活用は、商談フェーズの最適化だけでなく、社内のプロセス整備や顧客体験の強化にも直結します。特に人材業界のように「人」と「信頼」が成果を左右する分野では、顧客の行動心理を丁寧に可視化することが競争力の鍵となります。
実践事例③SaaS業界でのカスタマージャーニー活用によるLTV最大化戦略
あるBtoB向けSaaS企業(クラウド型勤怠管理ツール提供会社)では、フリートライアルから有料転換までの離脱率が高いという課題を抱えていました。特に、導入検討フェーズで「社内稟議の停滞」や「担当者の使い方理解不足」がボトルネックになっていたのです。
そこで同社は、カスタマージャーニーマップを再構築し、各段階でのユーザー体験と障壁を明確にしました。
実施した施策は以下の通りです。
ペルソナ設計:IT担当者(実務導入者)と管理部門の決裁者という二重構造で作成
タッチポイントの見直し:従来のメール一斉送信をやめ、チャットボットとウェビナー案内を連動させたハイブリッド施策へ変更
感情の反映:「初期設定が不安」「社内に説明できない」「ちゃんと活用できるか疑問」といった“導入前後の不安感”を想定し、QAコンテンツや動画マニュアルを充実
KPI連動の改善サイクル:MAツールとCRMを連携し、トライアル利用から30日以内の行動(例:設定完了・週1回以上のログイン)をモニタリング
結果として以下の改善効果が確認できました。
- トライアルからの有料転換率が38%→56%に改善
- 問い合わせから契約までのリードタイムが約25%短縮
- NPS(ネットプロモータースコア)も継続的に上昇傾向を記録
この事例は、SaaS業界における“契約前後の不安定なフェーズ”に対し、感情を含めたジャーニーの再設計が有効に機能した好例です。特に、ツール導入型商材は「導入までがハードル」となりがちなため、体験の質を高めるジャーニー設計がLTV最大化に直結します。
3社に共通していた成功のカギって?
人材業界・IT企業・SaaS企業の3つの事例を見ていると、業種は違っても“うまくいってる会社”にはいくつか共通のポイントがあることが見えてきました。ここでは、それぞれの企業に共通して見られた「成果につながる3つの要因」について、わかりやすく紹介していきます。
営業・マーケ・CSの連携と、共通KPIの設定がポイント
まず最初に感じたのは、やっぱり「チーム連携のうまさ」。3社とも、営業・マーケ・カスタマーサクセスといったそれぞれの部署が、カスタマージャーニーマップを“共通言語”として使ってたんです。つまり、「このタイミングで何を伝えるか」「誰がボールを持つか」みたいな役割がすごくクリアになってる感じでした。
たとえば、人材業界の会社では、「なかなかアポが取れない」という営業チームの悩みに対して、マーケがペルソナを再設計して、刺さるメッセージに見直し。そこから、DL数・商談率といった共通のKPIを明文化して、営業とマーケの連携がめちゃくちゃスムーズになったんです。結果として、部門横断の連携効率が32%もアップしたんだとか。
誰が何をするかが明確になると、プロセス全体のムダも減って、改善ポイントも見つけやすくなる。BtoBみたいに関係者が多い商材では、これはかなり大事なことですよね。
BtoB向けの効果的なカスタマージャーニーマップの作成方法は、こちらの記事をご参考にしてみてください。
ユーザーの「気持ち」を大事にした設計が効いた
次に共通していたのが、「感情をベースにジャーニーを考える」っていうアプローチ。ユーザーの行動だけじゃなくて、その裏にある「不安」や「期待」みたいな気持ちにも寄り添って設計されていたんです。
SaaS企業の事例がまさにそうで、たとえば「このまま継続していいのかな」って悩む更新直前のユーザーの気持ちに寄り添って、3か月前からフォローの設計をしていました。チャットボットでの軽い声かけとか、ピンポイントのサポート記事を自動で送るなど、小さな工夫の積み重ねが「ちゃんと見てくれてる感」を生んで、CSAT(顧客満足度)が前年比15%も上がったんです。
BtoBといえども、決めるのは人。だからこそ、感情にフォーカスすることで「この会社、わかってるな」と思ってもらえるんですよね。
KPIで振り返る“育てるジャーニー”が共通スタイル
最後にもうひとつ。3社とも、カスタマージャーニーを“作って終わり”にしてなかったことが印象的でした。むしろ「ここからが本番」って感じで、KPIでしっかり検証して、施策をどんどん磨いてたんです。
たとえばIT企業のケースでは、展示会からホワイトペーパーDL→個別相談につなげる流れをジャーニー化して、MAとCRMを連携。週ごと、月ごとにダッシュボードでKPIをチェックして、メール内容を細かく出し分けたり、資料の改善をしたりと、ちょこちょこ調整を重ねていました。
この「試して、振り返って、直す」のループをちゃんと回せると、成果ってちゃんと積み上がっていくんですよね。まさに、育てるジャーニー。
まとめ
今回ご紹介した3社の事例から見えてきたのは、カスタマージャーニーマップは「描いて終わり」じゃないということなんです。むしろ、そこからが本番。各部署がしっかり連携して、お客さんの気持ちに寄り添いながら、日々の施策を改善していく——その積み重ねが、成果にしっかりつながっていきます。
業界や商材が違っていても、ペルソナの精度を上げて、感情ベースで設計し、KPIを見ながらアップデートしていく。このサイクルを回すことで、LTVや契約率の向上にもつながるはずです。ぜひ、自社でも取り入れてみてくださいね。
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