BtoBマーケティングにおけるカスタマージャーニーマップは、企業の営業活動を最適化し、顧客の購買プロセス全体を可視化・理解するための重要なツールです。

本記事では、カスタマージャーニーマップの基礎知識から作成手順、活用メリットまでを体系的にまとめています!

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BtoBにおけるカスタマージャーニーの5つの主要ステージ

BtoBマーケティングにおいて、カスタマージャーニーは顧客が企業の製品やサービスに出会い、最終的に契約・推奨へと至るまでの一連の流れを指します。以下の5ステージに分けて理解することで、より戦略的な施策設計が可能になります。

1. 認知(Awareness)

顧客が自社や自社製品・サービスの存在に初めて気づく段階です。BtoBの場合、意思決定の起点は業界全体の課題認識にあることが多く、専門性の高いホワイトペーパーや業界課題を解説するWebセミナー(ウェビナー)が有効です。また、検索エンジン経由での資料ダウンロードやLinkedIn広告なども、認知獲得の施策として機能します。ターゲットに「課題の存在」を認識させることが第一のミッションです。

2. 検討(Consideration)

ここでは、見込み顧客が複数の選択肢を比較し始め、自社サービスを候補として検討している状態です。具体的な施策としては、製品デモやRFI(情報提供依頼)・RFP(提案依頼)への対応、実績のある顧客事例や導入事例を提示することが重要です。比較検討の際に他社との明確な差別化ポイントを伝えることで、候補としての優位性を築くことができます。

3. 決定(Decision)

見込み顧客がサービス導入を前提に、契約条件や価格の調整に入る段階です。BtoBの特性上、社内稟議が必要なケースも多いため、稟議書作成に役立つ提案資料の提供やROI(投資対効果)シミュレーションが効果的です。また、契約締結をスムーズに進めるために、営業担当が個別対応する体制の構築も不可欠です。

4. 維持(Retention)

契約後の関係維持・サービス継続のフェーズです。定期的なQBR(四半期ビジネスレビュー)を通じて成果の可視化と改善提案を行うことで、顧客のロイヤルティ向上を目指します。カスタマーサクセス部門の存在が、解約率(チャーン)を抑え、LTV(顧客生涯価値)を最大化する鍵となります。

5. 推奨(Advocacy)

顧客が単なる利用者ではなく、自社の価値を他者に伝えてくれる「推薦者(アドボケイト)」になる段階です。成功事例の共同作成、ユーザーインタビューの実施、紹介プログラムなどを通じて、顧客が自発的に周囲へサービスを紹介する仕組みを整えましょう。信頼性の高い第三者視点の発信は、新たなリード獲得に繋がる強力な資産となります。

この5ステージを軸に設計されたカスタマージャーニーは、BtoBマーケティングの成果を最大化するための戦略的なフレームワークです。各ステージでの最適なコンテンツとタッチポイントの設計が、リード獲得から契約、そして顧客のファン化に至るまでの道筋を描き出します。

カスタマージャーニーマップの作成手順5STEP (BtoB用)

効果的なカスタマージャーニーマップの構築

BtoBマーケティングにおいて、カスタマージャーニーマップは顧客理解を深め、成果につながる施策を設計するための重要な設計図です。以下では、効果的なジャーニーマップを構築するための5つの基本ステップを、SEO観点を含めて詳しくご紹介します。

1. ペルソナ設定:組織と個人の両面からターゲット像を明確化

BtoBの意思決定は、組織単位と担当者個人の両方が影響するため、ペルソナ設計も二重構造で行うことが不可欠です。業種・企業規模・導入目的といった”組織”の属性に加え、担当者の役職・部署・意思決定権限といった”個人”の視点を組み合わせて設計します。

この段階で詳細なペルソナを構築することで、顧客が抱える課題や興味関心を具体化でき、以降の施策も一貫性を保ったものに仕上げることが可能になります。

2. タッチポイントの特定:顧客接点を洗い出し、チャネル横断の体験設計へ

次に行うべきは、顧客と企業の間で接触が発生するすべてのタッチポイント(接点)を整理することです。具体的には、以下のようなチャネルを網羅的に把握します:

  • オフライン:展示会、商談、セミナー
  • オンライン:Webサイト、検索広告、メール、チャットボット、SNS、動画コンテンツ

これらの接点ごとに、顧客が求めている情報や体験の質を整理し、チャネルごとの最適化を目指します。特にBtoBでは、検討期間が長く情報収集が継続するため、あらゆる接点で一貫したブランド体験を提供することが重要です。

3. 購買行動と感情の整理:フェーズごとにユーザー心理を見える化

顧客の意思決定プロセスは単純ではなく、認知・興味・比較・意思決定と複数のフェーズに分かれ、それぞれで異なる心理状態があります。

カスタマージャーニーマップでは、各フェーズでの行動(例:資料請求、問い合わせ)、課題(例:導入リスク、社内稟議)、感情(例:期待、不安、納得)を時系列で可視化します。これにより、感情に寄り添った施策やコンテンツを設計でき、エンゲージメント向上にも直結します。

4. 施策計画とKPI設定:フェーズごとに評価指標を明確に

ジャーニー設計後は、各フェーズに応じたマーケティング施策と、その成果を測定するKPI(重要業績評価指標)を設定します。

  • 認知フェーズ:資料ダウンロード数、Webセッション数、広告クリック率
  • 検討フェーズ:デモ申込数、営業接触件数、ホワイトペーパー閲覧時間
  • 意思決定フェーズ:商談化率、見積提出数、契約締結率

これにより、施策の効果を数値で可視化し、ボトルネックの特定と改善施策の優先順位付けが可能になります。

5. 効果検証と改善:データに基づくサイクル運用

最後のステップは、作成したジャーニーマップの定期的な見直しと改善です。CRMやMA(マーケティングオートメーション)ツールを連携させ、実施した施策のデータを収集・分析します。

得られたフィードバックをもとに、顧客行動の変化や市場トレンドを反映したマップのアップデートを行い、継続的な最適化を図りましょう。

カスタマージャーニーマップ作成時の注意点と活用メリット

カスタマージャーニーマップの改善サイクル

作成時の重要な注意点①部署間の連携を強化する

カスタマージャーニーマップを作成する際、営業・マーケティング・カスタマーサクセス(CS)など複数部門の意見を反映することが不可欠です。BtoB領域では、顧客との接点が部門ごとに異なるため、特定の部署だけで設計を進めると視点が偏り、実態とかけ離れたマップになってしまう可能性があります。特に、営業現場でのリアルな顧客の声や、マーケティング部門が取得しているデータなどを統合し、多角的な視点からジャーニーを構築することが成果につながります。

作成時の重要な注意点②顧客の感情要素も必ず盛り込む

BtoBであっても、購買の背後には常に「人」の感情が関わっています。顧客が製品やサービスの検討段階で感じる不安、期待、迷い、信頼の構築プロセスなどを、ストーリーとして盛り込むことが重要です。たとえば、「予算が合うか不安」「本当に自社にフィットするのか?」といった感情は、意思決定を左右する大きな要素です。感情を見える化することで、よりパーソナルで説得力のあるコミュニケーション設計が可能になります。

作成時の重要な注意点③改善サイクルの運用を前提に設計する

カスタマージャーニーマップは一度作って終わりではなく、KPI(重要業績評価指標)と連動させた定期的な見直しが必須です。実際の施策結果をもとに、効果のあったポイントや課題点を分析し、ジャーニーをアップデートしていくことで、常に最適な顧客体験を提供し続けることができます。特にCRM(顧客管理システム)やMA(マーケティングオートメーション)ツールの活用により、リアルタイムでの改善サイクルを実現しやすくなります。

カスタマージャーニーを活用する3つのメリットと実践ポイント

メリット①:情報共有がスムーズになり、組織全体の効率が向上

カスタマージャーニーマップは、営業、マーケ、CSなど複数の部門間で顧客理解を共通言語化できるツールです。これにより、部門ごとの情報の分断が解消され、業務の連携効率が最大32%向上したという調査結果もあります。社内のコミュニケーションギャップを減らし、顧客対応に一貫性を持たせることが可能です。

メリット②:顧客体験を数値で把握できる

カスタマージャーニーでは、NPS(ネットプロモータースコア)やCVR(コンバージョン率)などの定量指標を活用することで、施策の効果や顧客満足度を明確に測定できます。これにより、「感覚的な施策」ではなく、「データに基づいた改善」ができるようになります。顧客体験を数値で捉えることで、改善すべきポイントが明確になり、より精度の高い戦略立案につながります。

メリット③:リソース配分の最適化でコスト削減が可能

すべてのタッチポイントが効果的とは限りません。カスタマージャーニーマップを通じて費用対効果の低い施策を可視化し、リソースを最適なチャネルへ再配分することで、最大22%の経費削減が実現された事例もあります。特に人手や予算に限りのある中小企業では、投資の優先順位を明確にするためにも、マップを用いたリソース管理は非常に効果的です。

まとめ:BtoBマーケティングの成功は、顧客理解の「深さ」にあり。

カスタマージャーニーマップを適切に設計・活用することで、顧客との接点を最適化し、組織全体のパフォーマンスを向上させることが可能です。感情とデータの両面を取り入れたストーリー設計と、継続的な改善が、競争力あるBtoB企業づくりの鍵となるでしょう。

カスタマージャーニーを活用した成功事例については、以下の記事も合わせて参考にしてください。

カスタマージャーニー活用成功事例3選【人材・IT・SaaS】

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