Google広告を運用するうえで、長年「高い壁」として立ちはだかっていたのがオーディエンスリストの最小ユーザー数です。
特に検索広告(RLSA)やYouTube広告で必要だった「1,000人」というハードルに苦しめられてきたBtoBマーケターの方も少なくないのではないでしょうか。
しかしながら2025年末頃のアップデートにより、状況は一変しています。
現在、カスタマーマッチを含むすべてのネットワークにおいて、最小ユーザー数は「100人」に統一されていることをご存知でしょうか?
この緩和は、単なる仕様変更ではありません。
これまで「PVやリストの母数が足りない‥」と諦めていた中小企業やBtoB企業にとって、広告運用のゲームチェンジにもなり得ます。
ネットワーク別の新旧要件:何が変わったのか?
まずは、Google広告の公式ヘルプを参考に、現在の要件を整理してみます。
2026年現在、全ネットワークで以下の基準が適用されています。
| ネットワーク | 以前の最小ユーザー数 | 現在の最小ユーザー数 |
| Google 検索 (RLSA) | 1,000人 | 100人 |
| YouTube | 1,000人 | 100人 |
| ディスプレイ (GDN) | 100人 | 100人 |
| カスタマーマッチ | 1,000人 (検索/YT) | 100人 |
以前は「検索やYouTubeでは1,000人リストが貯まるまで待たないと‥」という、もどかしさがありました。
今ではリストが100人を超える規模さえあれば、すべてのリストを広告配信に活用できるようになっています。
100人からできる「マイクロ・ターゲティング」新戦術例
① 「商談直前リード100人」へのYouTube配信
例えばBtoB系のサービスなら、展示会で獲得した名刺や、ホワイトペーパーをDLしたばかりの「ホットリード」が最低100人以上いれば実施可能です。
その100人をリスト化し、YouTubeのインストリーム広告で「自社の実績・信頼性」を伝える動画を集中的に配信。
認知から商談化までのリードタイムを短縮しつつ、結果的にコストを抑えられる可能性があります。
②ニッチキーワード×RLSAの掛け合わせ
「自社製品名」や「自社サービス名」で検索して1度サイトに訪問した100人が、後日「競合製品名」や「比較」といったキーワードで検索した際、検索結果の1位に自社広告を出す。
これまで「ボリューム不足」で配信できなかった、「超・ピンポイント」な配信手法も可能になります。
③ 最小単位の「種」リストによるAI拡張
100人の「成約者リスト」があれば、それをGoogleのAIに読み込ませることで、類似したユーザーを探し出す「種(シード)」として機能します。
母数が少なくても質が極めて高いリストであれば、AIは十分に精度の高い拡張を行えるようになってきています。
「100人の壁」を確実に突破するチェックリスト
①マッチ率を考慮したリストづくり
例えばメールアドレスを100件アップしても、Googleアカウントに紐付くのは50〜70%程度が目安となっています。
実数として100人を確保するには、最低でも200〜300件のリストを用意するのが安全圏です。
②「過去30日間」の罠に注意
リストの総数ではなく、「過去30日間にGoogleのサービス上で活動したユーザー」が100人必要です。
1年以上前の古いリストをアップしても、この条件に引っかかってしまい、配信が始まらないケースがあります。
③タグベースのリストとの組み合わせも検討
どうしても母数が足りないという場合は、サイト訪問者のリスト(タグ)や、顧客のメールアドレス(カスタマーマッチ)を複数組み合わせ、1つのオーディエンスとして統合することで、配信に活用する方法も検討しましょう。
広告運用は「数」から「質」へ
従来のGoogle広告のイメージは、数千、数万のデータをAIに渡して最適化させる「物量作戦」が主流でした。
しかし今回の緩和は、GoogleのAIが「少ないデータからでもユーザーの意図を汲み取れるようになった」自信の表れでもあります。
これからは月間PVが少ないサイトや、ハウスリストが数百件しかないBtoB企業でも、大企業と同じ「精密なターゲティング」という武器を持てるようになってきています。
「リストの母数が少ないから‥」と後回しにしていた様々な施策。
今こそ、オーディエンスマネージャーを開いて再開する絶好のタイミングです。
もし「配信対象外」となっている古いリストがあれば、現在のマッチ数を確認し、最新の顧客データを追加アップロードすることから始めてみることをオススメします。