2026年6月、Meta広告で利用できるPurchase(購入)イベントのカスタムオーディエンス保持期間が、従来の180日から730日へと大幅に拡大されました。

一見すると「オーディエンスサイズが大きくなるだけ」の変更に見えますが、実際には広告運用の考え方そのものに影響を与える可能性があります。

特に、

  • 購入者除外の設計
  • リターゲティング戦略
  • 類似オーディエンスの活用

などに関わる重要なアップデートと言えそうです。

本記事では、今回の変更内容と広告運用への影響について解説します。

まず何が変わったのか?

Meta-Ads-Purchase-Audience-retention-180-730

これまでMeta広告では、Purchaseイベントを元にしたカスタムオーディエンスの保持期間は最大180日でした。

しかし今回のアップデートにより、最大730日(約2年間)まで設定できるようになりました。

例えば、

  • 過去730日以内に商品を購入したユーザー
  • 過去730日以内に有料会員登録したユーザー
  • 過去730日以内に契約したユーザー

などを対象としたオーディエンスが作成可能になります。

他の標準イベントとの比較

今回注目すべきなのは、延長されたのがPurchaseイベントのみである点です。

イベント最大保持期間
Purchase730日
AddToCart180日
InitiateCheckout180日
ViewContent180日
Lead180日
CompleteRegistration180日
PageView180日

つまりMetaは売上に確実に繋がる「実際に購入したユーザー」を、より価値の高いシグナルとして扱う方向に舵を切っているようにも見えます。

なぜMetaはPurchaseだけを730日にしたのか?

Metaはここ数年、

  • Advantage+ Shopping Campaign(ASC)
  • Advantage+ Audience
  • Value Optimization
  • Incrementality測定

など、売上や利益に近いシグナルを重視する方向へ進化しています。

その中で最も信頼性が高いシグナルの一つが「購入」です。

ページ閲覧やカート投入は興味関心を示す行動ですが、購入は実際にお金を支払った結果です。

Metaとしては、「過去2年以内に購入した人」のデータをより長く活用することで、

  • 学習精度向上
  • 類似ユーザー発見
  • LTV重視の最適化

を実現したい意図があるのではないでしょうか。

期間延長によるメリットとは?

① 購入者オーディエンスを大幅に拡張できる

特に中小規模の広告主にとって恩恵は大きいかと思います。

例えば年間購入者数が3,000人の場合、180日では約1,500人程度だったオーディエンスが、730日では6,000人近くまで拡大する可能性があります。

オーディエンスサイズ不足に悩む広告アカウントでは大きな追い風となります。

② 長い購買サイクルの商材と相性が良い

以下のような業界では特に効果が期待できます。

  • 不動産
  • 自動車
  • 金融
  • 保険
  • BtoBサービス
  • 高価格帯EC

これらの商材は購入頻度が低いため、180日では顧客との接点が切れてしまうケースがありました。

730日あれば、

  • 更新
  • 買い替え
  • アップセル
  • クロスセル

などの施策が行いやすくなりますね。

③ 類似オーディエンスの種が増える

類似オーディエンスの重要性は以前ほど高くないとはいえ、質の高い購入者データを大量に蓄積できるメリットは依然として存在します。

特に、

  • 月数件〜数十件程度しか購入が発生しない商材
  • 地方商圏でのサービス
  • ニッチ商材

などでは恩恵を感じやすいかと思います。

延長した場合の注意点

もちろんメリットばかりではありません。

むしろ設定を見直さないと成果悪化につながる可能性もあることを念頭に置きましょう。

① オーディエンスの鮮度が下がる

730日オーディエンスには、昨日購入したユーザーもいれば、2年前に1回だけ購入したユーザーも含まれます。

当然ながら両者の温度感は大きく異なります。

購入者のオーディエンスを730日をひとまとめに扱うと、広告配信の効率が落ちる可能性があります。

② 除外設定が広がりすぎる可能性がある

①と同様の理由で、購入者のオーディエンスを単純にひとまとめにしてしまっている場合、特に注意したいポイントです。

例えば新規獲得を目的としたキャンペーンで、「購入者除外」を設定しているケースは多いかと思います。

ここで購入者730日除外を適用すると、本来再獲得可能なユーザーまで除外してしまうリスクがあります。

適切な期間は商材によって異なりますが、リストを分けて「どの期間の購入済みユーザーを除外するか」は戦略を持って意識的に設定するようにしましょう。

まとめ

今回のアップデートは単なるオーディエンス拡張ではありません。

Metaが「購入」というシグナルをこれまで以上に重要視していることの表れとも考えられます。

重要なのは単純に購入済みのユーザーリストの保持期間を730日延長すれば良いという訳ではなく、

  • 30日
  • 90日
  • 180日
  • 365日
  • 730日

と期間別にリストを分けるなどして、商材やサービスの顧客ライフサイクルに応じた広告設計を行うことです。

「どの顧客に、いつ、何を伝えるか」という設計がより重要になってくるため、この機会に1度見直しをしてみてはいかがでしょうか?