前回の記事では、AIが苦手とする領域について解説しました。AIには限界があるものの、適切に活用すれば医療広告チェックの効率と品質を大きく向上させることができます。今回は、AIと人間それぞれの強みを活かした、効果的なチェック体制の作り方についてお話したいと思います。

【AI×医療広告】活用する前に知っておきたいAIの苦手な領域とは?

AIと人間の役割分担を明確にしよう

効果的なチェック体制を構築するには、AIと人間の強みを対立させるのではなく、補完し合う関係として捉えることが重要です。

AIには明確なルールに基づく大量処理と一次スクリーニングを任せ、人間は文脈を踏まえた最終判断とAIでは対応できない複雑なケースの精査を担う。このように役割を明確に分けることで、効率性と判断力を両立した質の高いチェック体制を実現できます。

効果的な二段階チェックフロー

AIと人間の強みを活かすには、二段階のチェックフローが効果的です。

第一段階:AIによる自動スクリーニング

この段階の目的は、問題箇所を速やかに発見し、明らかな違反を効率的に抽出することです。

作成された広告文をAIに読み込ませ、以下の作業を行います。

  • 明確なNG表現や過去の違反事例と類似した表現を検出
  • 問題の可能性がある箇所をリスト化
  • 過去の審査結果(NG事例/理由/修正例)を参照させて検出精度を向上
  • 明らかな違反を修正
  • 判断が難しい箇所を次の段階へ

第二段階:人間による精査

この段階の目的は、文脈を踏まえた総合判断を行い、AIでは判断できない複雑なケースを精査することです。AIが検出した箇所について、人間が以下の作業を行います。

  • 各箇所について文脈を踏まえて本当に違反に該当するか判断
  • 必要に応じて修正を実施
  • AIが見落とす可能性のあるあいまいな表現をチェック
  • 画像やビジュアル要素の適切性を確認
  • 最新のガイドライン改正内容や業界の最新動向を踏まえた最終チェック
  • 全体を通して問題がないことを確認し承認

運用時の注意点

効果的なチェック体制を維持し、継続的に改善していくために、以下の点に注意が必要です。

AIに過度に依存しない

AIは便利なツールですが完璧ではありません。AIの判断を鵜呑みにせず、必ず人間が最終確認を実施することが重要です。特に患者の健康や生命に関わる医療広告では、慎重な判断が求められます。人間による最終確認を徹底することで、医療広告の品質を担保できます。

チーム内でナレッジを共有する

AIが検出した事例や判断に迷った事例は、チーム内で共有します。定期的にケーススタディを実施し、判断基準をすり合わせることで、チーム全体のスキル向上につながります。また、最新のガイドライン改正情報や行政指導事例を共有する仕組みを構築し、経験豊富な担当者の知見をチーム全体に展開することも重要です。

継続的に改善する

チェック体制は一度作って終わりではなく、継続的に改善していく必要があります。チェックにかかる時間、見落とし件数、審査通過率といった指標を定期的に測定し、これらのデータから課題を特定します。改善施策を実施した後は、その効果を検証し、PDCAサイクルを回すことで、チェック体制の効率と品質を向上させることができます。

まとめ

AIを活用した効果的なチェック体制は、AIと人間それぞれの強みを活かした役割分担がカギとなります。二段階のチェックフローを導入し、チーム内で役割分担を明確にすることで、効率と品質を両立した運用が可能になります。

重要なのは、こうした体制を、実際の業務に落とし込んでいくことです。最初から完璧な体制を目指すのではなく、小さく始めて実際に運用しながら改善を重ねていくことで、自社に最適なチェック体制が確立していきましょう。

 

今回は以上となります。